大学院案内2026
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小村 宏史 准教授研究分野 日本上代文学研究内容 上代の文献、具体的には『古事記』『日本書紀』『万葉集』「風土記」などにみえる、神話的言説を主たる研究対象としています。神話とは、現実世界の矛盾・疑問・危機を解消する、〈語りの装置〉です。ある文献における神話的言説が、どのような現実をみすえ、何のために生み出され、実際にどんな影響力を持ち得たのか、文脈の検討を通して考察しています。主要業績 『古代神話の研究』(新典社 2011年)、「垂仁記霊果将来説話の意義―「常世国」よりもたらされたもの―」(『上代文学』118号 2017年)、「『先代旧事本紀』「天璽瑞宝十種」の形成について ―出雲の神宝献上を手がかりに―」(『国語と国文学』第98巻9号 2021年) 加藤 敦子 教授研究分野 日本近世文学、演劇研究内容 江戸時代の人々の思想や想像力と文学作品の相互関係を作品から読み解くことが目標です。近世演劇の研究を通して、演劇や文学が社会にどのように波及していくか、現代の映画やアニメなども視野に入れて幅広く考えています。主要業績 『高畑勲をよむ文学とアニメーションの過去・現在・未来』(編著、三弥井書店 2020年)、「五代目市川団十郎「小倉百句」注釈(一)~(四)」(都留文科大学国語国文学会『国文学論考』第50~53号 2014年~2017年)、「未来記による虚構化─『傾城島原蛙合戦』の夢解き」(『アジア遊学159〈予言文学〉の世界 過去と未来を繋ぐ言説』勉誠出版 2012年) 佐藤 明浩 教授研究分野 日本中世文学、和歌文学研究内容 和歌(短歌)は古来千数百年にわたって現役の文学であり続けています。その生命力の正体は?もっとも追究したいと思っている大きな課題です。それに近づくために、それぞれの時代で、どのように和歌が作られ、受けとめられてきたのか、できるだけ具体的に復元することを目指し、歌集、歌書をはじめとする諸文献の実態を解明すべく研究をすすめています。主要業績 『院政期和歌文学の基層と周縁』(和泉書院 2020年)、「異名と枕詞と―「ひさかたの」の一隅から―」(『日本文学研究ジャーナル』34 2025年6月)、「藤原定家の歌学―斑―『後撰和歌集』をめぐって─」(『日本文学研究ジャーナル』16 2020年12月) 陳 佑真 講師研究分野 中国思想史研究内容 近代以前の儒学を中心とした思想史について、特に宋代の蘇軾らの経書解釈に着目して研究しています。近年は道学とその他諸派との関係に関心を向け、南宋から元・明にかけての比較的広い時期を対象に文献を読み進めています。主要業績 [明]郝敬『尚書弁解』(点校整理、崇文書局 2022年)、『三蘇蜀学の研究―北宋士大夫による儒家経典解釈の展開』(京都大学学術出版会 2024年)、「松崎鶴雄が考えた古代の歌声―「伝統」漢学の『詩経』解釈を超えて」(重田みち編『「日本の伝統文化」を問い直す』所収、臨川書店 2024年)、「宋末元初経学の様態に関する一考察―朱祖義『尚書句解』を中心に」(『中国思想史研究』46 2025年)、「注釈の差異に着目した漢文の発展的学習の可能性―『論語』注釈史における顔淵観の変遷を中心に」(『国文学論考』61 2025年)、「諸橋轍次『止軒詩艸』訳注(一)」(『国文学論考』61 2025年) 長瀬 由美 教授研究分野 平安朝文学(平安朝漢文学と仮名文学)研究内容 平安時代の人々が中国文学を深く受けとめ、そのうえで独自の文学を発展させていった様相を、平安朝漢詩文と仮名作品双方を読み解きながら追っています。主要業績 『源氏物語と平安朝漢文学』(勉誠出版 2019年、紫式部学術賞受賞)、「訓読という回路を使って漢詩文世界とつながる」(『源氏物語を読むための25章』武蔵野書院 2023年)、「平安時代前期における中唐の文の受容─白居易「策林」を軸に─」(『国語と国文学』第99巻6号 2022年6月)、「『源氏物語』と「長恨歌」─正編から続編へ─」(『源氏物語 煌めくことばの世界 2』笠間書院 2018年)、「平安時代の「長恨歌」受容と仏教:金沢文庫本『白氏文集』の訓から」(『白居易研究年報』16号、勉誠出版 2015年)など国文学専攻大学院担当者(専任・特任)の研究領域(2025年度)8
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