FN109号
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クエストとは、冒険の旅を指す言葉だ。寿ことぶき駅と三みつとうげつ峠駅をつなぐ「駅間」が今回の舞台である。リュックに筆記用具やカメラなどの道具と、大きな高揚感を詰め込んで、私のクエストは幕を開けた。辻口いづみ(地域社会学科3年)=文・写真▽注目スポット!①暑い日に諏すわはちまん訪八幡神社でひと休みをした。涼しい風がそこにだけ吹き込んでいるように感じた②富士山を背景に富士急行線をのぞむことができる。一粒で二度美味しいぜいたくな場所だった③「豫よえん園」という中華料理店があった。のれんをくぐってみたいのだが、なかなか勇気が出ない④手動の踏切と「とまれみよ」と書かれた看板がある。いきなり警報がなり、驚きで肩が跳ねた▽旅の記録の話 7月16日、はじめての「駅間」散歩である。長かった梅雨がようやく明けて、久しぶりの蒸し暑さにめまいがした。寿駅の改札を抜け、「何もない」と声に出してしまう。想像よりも自然に囲まれており、目立つ建物もコンビニぐらいしかない。このまま富士みち沿いを歩くのはなんだか退屈だ。三つ峠駅を目指して知らない道を気の向くまま進む。 旅のさなか、幾度となく私の目に留まったのは、行く先にすらっと立っているカーブミラーだ。夏らしく澄んだ空や、若くやわらかな緑色の稲に、カーブミラーのオレンジ色がよく映える。歩いてみて実感したが、この「駅間」には急な坂や蛇行した道が多い。そのため、たくさんのカーブミラーに出会えた。 カーブミラーといえば丸い鏡のものを思い浮かべる。ゆるやかな曲線がなんとも愛らしい。しかし撮った写真を見返すと、四角い鏡のものや標識のついたものがある。支柱のさびや標識の文字の色あせぐあいから、設置年数の差も見てとれた。「カーブミラー」としてひとくくりにできないくらい、表情やた24no.109 Dec. 2021

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