FN109号
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※食べもののバランスを重視し、その土地の穀物や野菜、海藻などを中心に摂取する食事法ほしのさと工房 東ひがしかつら桂駅から南東に向かって8分ほど歩いたところに「ほしのさと工房」はある。ひっそりとした住宅街にあるお店は、まるで隠れ家のようだ。ドアを開けて店内に入ると、正面のショーケースには、かぼちゃあんパンやチーズパンなど沢山のパンが並んでいた。開店してすぐの時間帯だったからか、より香ばしいパンの香りが鼻孔をくすぐる。 店内を見まわすと、味噌や醤油といった調味料や、乾麺や大豆ミートなどの食材が目に入る。ここの商品はすべて素材にこだわってつくられている自然食品だ。私は母の影響を受けて自然食品を利用しており、それがきっかけで「ほしのさと工房」を知った。自然食品を扱っているお店は少なく、山口さんには都留に来たときからお世話になっている。食習慣と健康 山口さんの食事法であるマクロビオティックを一言であらわすと「動物性食品が一切入ってない食事」だそう。肉や魚、牛乳や卵、それらを原料としてつくられた食品を摂らないよう心がける。玄米などの穀物と季節の野菜を中心とする、「玄米菜食」だともおっしゃった。野菜は無農薬・無肥料が望ましいため、山口さんの場合は畑を借りてつくっているという。お店のパンには山口さんの育てた野菜が使われているそうだ。「そのおかげなのか、かぼちゃを練りこんだ食パンはいつも完売なんです」と嬉しそうに話してくださった。 山口さんは初めからこのような食習慣だったわけではない。マクロビオティックを知ったのは、お子さんのアトピーがきっかけだった。当時かよっていた皮膚科の先生に、薬で症状を抑えることはできるが、副作用を考えると服用を続けるのはやめたほうがいいと言われたそう。その後、別の病院の先生に薬より安価な治療法として勧められたのが玄米菜食、マクロビオティックだった。藁にもすがる思いで始めた食事療法だったが、次第にアトピーの症状は和らいでいったという。 しかし、お子さんの学校給食が始まり以前の食事に戻すと、山口さんはときどき体調を崩すようになった。一時は寝たきりや緑内障、失聴といった状態におちいったそうだ。改め「石窯パン ほしのさと工房」では、天然酵母パンと自然食品の販売やマクロビオティック(※)の料理教室をおこなっている。今回は店主である山口とも子さん(73)に、この食事法を始めるきっかけや食べものへの想いについてお話をうかがった。パンは天然酵母や国産小麦だけでなく湧き水を使うなど、さまざまな材料にこだわってつくられている(2021年9月15日)をつくる32no.109 Dec. 2021 々日
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