FN109号
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33て食習慣を見直し、マクロビオティックを再開すると回復したのだという。食べもので治す 病気を治すうえで大切なことは、血液をきれいにすることだと山口さんは語る。臓器を機能させているのは血液であり、汚れていると病気になりやすいそうだ。逆に病気にかかっていても血液をきれいにすると、治りやすくなる。そして血液をきれいにするのが食事の役目だという。病気を克服した経験があるからこその言葉なのだろう。初めて耳にする話に圧倒されつつ、食べものと体のつながりがより深くなっていく気がした。 口にするもので体ができているのは理解していたつもりだが、食べものが持つ影響力を甘く見てしまっていた。「毎日食べるもので体ができているので、食べものはガソリンと違う。ガソリンで車はできないけれど、食べものだと体もできていくのでね」。エネルギーになるだけでなく、エネルギーをつかう器そのものになる。その言葉を聞き、「食べものってすごい」と、そう素直に感じた。 「ぜひね、病気ってどういうことかっていうことを若い人に知ってもらいたいんです。薬はどういう作用をするか、食事はどうなのか」。そう口にする山口さんの視線は力強い。食事療法のうわさを聞きつけ、山口さんのもとに足を運ぶ人も多いそうだ。食べものをとおして人を想う気持ちが見えた。* * * 取材を終え、お土産にもらったパンを片手に帰路につく。山口さんの経験や想いが詰まったパンはまるで名刺のようで、今回お聞きした話が自然と頭のなかに浮かんできた。「日々、自分が取り入れたもので自分がつくられていく」。あたりまえのことだけれど、あまり意識を向けていないことに気づく。 口に入れたもので体がつくられているのなら、経験したもので心はつくられていくのかもしれない。山口さんとの出会いは、私に安心と自信を与えてくれた。これからどんな私をつくっていこうか。どんな日々を歩んでいこうか。そう考えると、胸がおどった。玄米おにぎりとじゃがいもの煮物、味噌きゅうりをいただいた。お米や味噌も自家製のものだという(2021年9月15日)店内にはパンの他に、食料品もずらりとならぶ(2021年11月10日)柏倉和奏(地域社会学科2年)=文・写真

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