FN109号
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建築からモノ作りの道へ 工房はトタン屋根の平屋で、入り口付近にはお皿やコップ、小さな置物や花瓶などお二人の作品が展示されていた。奥は作業場になっており、ガラスを加工するための窯が二つ並んでいる。工房内ではおもに、商品の制作と体験活動をおこなっている。善博さんはガラス作りに26年間携わってきた。20年前は建築のお仕事をされていたそう。「図面を書くよりも、ものづくりをするほうが性に合っていたんで」と、善博さんは転職の理由をはっきりと口にした。デスクワークよりも体を動かす仕事がしたいという一心で転職を決意したという。 「美大にかよっていたこともあって、周りの人たちのものづくりを見て、作り手のほうにって思ったみたい」。そう言葉を添える千昭さんも専門の学校にかよい、創作の道に進んだ。お二人の出会いも「ものづくり」がきっかけだったと照れながら話してくださった。今はパソコンを使って作業できる建築の仕事も、昔は紙と鉛筆を使った細かい作業が必要だったという。「パソコンを使うのは嫌いじゃ「作品には、その人の性格がそのまま出ます」と安やすもと本千ちあき昭さん(47)はおっしゃる。安本善よし博ひろさん(50)と奥さまの千昭さんが2013年に都留市西にし桂かつらでガラス工房を開いてから今年で8年目になる。余計な装飾をほとんど施さず、上品でしなやかに作り上げられた「あしたば硝子工房」の作品たち。その一つひとつとお二人の性格を重ねながらお話をうかがった。思い描くままに作業の途中、時折パリンとガラスが弾ける音がした(2021年7月30日)

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