FN109号
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53以前と変わらず根本が細らみ、枝垂桜よりかなり小ぶりで、葉は小さい。けれどお話をうかがった私のなかで、それらの特徴は、ただの特徴ではなく木の歴史をあらわすものになった。 そして以前よりモミジの葉は青く、私が春先に好んで観察していた枝はなくなっている。季節による変化と残したい人の思いがモミジを少しずつ変えていく。それでもいつかモミジは消えてしまう。七変化もみじがこの場所から消えてしまえば、モミジについて尋ねる人はいずれいなくなるだろう。西願寺の代々の住職が繋いで、今の住職である信彦さんご夫婦が大切に見守ってきた事実や、多くの人からの愛情。おのおのの思いを一身に受けてきたモミジがあったこと。これらの事実はいつか失われ、忘れられていくかもしれない。ご夫婦から話をうかがい、私も変わったのだろう。「せめて伝えることで七変化もみじを残したい」。そう強く思った。赤松優香(国文学専攻2年)=文・写真接木とは、土台となる木に別の木を繋げることだ。例えば、病気や虫に弱い品種に強い品種を接いで強くする。ソメイヨシノのように、個体を増やすためなど、さまざまな目的で行われている。そして接木は形成層と呼ばれる、植物の体内にある新しい細胞を作り出しているところを利用して行う。土台となる台だいぎ木と、穂ほぎ木の形成層を合わせることがポイントだ。⑤ 一体するまで乾かないように 覆って密封する③ 接ぐところで台木を切り、形成層 が見えるように樹皮を削ぐ④ 台木と穂木の形成層が合う ように差し込む形成層の一部だけでも合っていれば接ぐことができる② 形成層が見えるように皮を削ぐ① 穂木を40度程度の角度で切るつながった形成層で細胞が作られて一体化する樹皮木質部形成層…維管束にある。樹皮側に師管(養分を通す管)、木質部側に、導管(水を通す管)がある
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