FN109号
7/60

7①厨房の勝田さんと楽しげに語る豊島さん ②厳選されたこだわりの小物 ③30本ほどのパンを仕込む勝田さんたら、出せてないような気がして」。その言葉からは、料理人としてのプライドを感じることができる。「食材と向き合う」そして「お客さんに100パーセントの食材をだす」をかなえるために、2017年にレストランを開業させた。 自らが提供する料理にも「食材と向き合う」 姿勢が貫かれている。開業当初は地産地消をやろうとしていたそうだ。今は食材を山梨県に特化せず、富士山麓に範囲をひろげている。「やっぱり食材探しのフィールドは広いほうがいいし、お客さんに来てもらうにはより『変なこと』をしないといけないんですよね。地産地消はどこでもやっているし」と、ニヤリと笑う。「食材と向き合う」ということは、生産者さんや猟師さんとも必然的に付き合っていくことになる。豊島さんからは生産者さんへの尊敬が感じられる。「おいしいものがあるなら使わせてください。発信しますって感じです。地元の人と一緒に発信していきたいんですよね」。フィールドは楽しいほうがいい。それは生産者さんと豊島さんが高めあいながら食材の良さを伝えていくための、揺るぎない考えだ。河口湖でくらしていく お店のこだわりについてうかがうと、豊島さんは、厨房で作業をしていた従業員の勝かつた田翔しょうま馬さん(25)に話をふった。勝田さんは仕込みの腕をとめずに「やっぱり、素材の味をそのまんま使っていることじゃないですかね」と迷いなく答える。豊島さんは「いいこというじゃん」と茶化しながら、「引き算の料理ってやつですよね。食材の良さをいかすっていうか」とつづけた。「あとは、お客さんにあった料理をだすこと。うちは予約制だし、高いお金をもらっているから、お客さんに合った料理を出したいんですよね」。それは、お客さんからの注文にこたえる、というものではない。あくまでこのページの写真はすべて2021年8月19日に撮影しました。①②③

元のページ  ../index.html#7

このブックを見る