FN110号
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no.100 Mar. 2019 3434no.110 Mar 2022上:店内の雑貨スペース下:ミツロウが塗り込まれた紙袋シェアカフェtobiraのためにつくられたオリジナルハーブティー◀母さん同士の交流をはぐくむ場所のことだ。この経験から「いつかはこういったお店を作りたい」と思うようになったそうだ。感染症の影響によってマルシェの開催がめっきり減ってしまったさいに、以前から交流があったかたからお声がかかり、カフェをひらくことを決意したのだという。「つながりの人」 「tobira」では毎月ワークショップやイベントが開かれる。「楽しむ場としての役割を持ちたい」という思いから開催しており、みそづくりやマーケットの開催など多岐にわたる。 店内には雑貨や手作りのお菓子などが並んでおり、上田さんのお知り合いのかたから委託され販売しているのだという。上田さんはそのなかの一つであるハーブティーを淹れてくださった。ほのかに甘みを感じるすっきりした風味が特徴で、ほっとする味がした。 「飲食の人って感じじゃないと思う、私って。なんかそういう、つながりの人なのでお店をかまえたところで普通の飲食店みたいにはできないんだろうなって思います」上田さんは店内を見渡しながらそうおっしゃる。店内にはワークショップで作ったのだというさまざまな作品が展示されていた。 「最初のころはね、定休日をきちんとつくってパンを(毎日)焼いたりしてたんです。それで喜んでくれる人もいたけど、自分がちょっとしんどくなっちゃって。来てくれたお客さんに話す時間がとれなかったりとか。それで今の不定休にしたりとか、イベントの時とかだけにパンを焼いたりとかして自分が余裕を持てる範囲でやっているんだけど、それでもちゃんとパンを焼いてたころよりなぜだかお客さんが来てくれたりして。『あ、これでいいんだ』って。だからここでのちょっとした会話だったりとかを、楽しみにしてきてくれてる人もいるのかなあって思うんです」。 上田さんは、お客さんがお店に来てくれた時や帰りぎわには必ず一言を添えるようにしていた。「来ちゃった」と笑いながら入店したお客さんと談笑するすがたは、上田さんの「つながりの人」という言葉がとてもしっくりくる。取材の席に戻ってきてくださった上田さんは「これね、彼女がつくって

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