FN111号
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10no.101 Jul. 2019 このページの写真はすべて2022年5月14日に撮影しました。ヘビイチゴをブヨに刺されたところに塗ると、かゆみがすっとひいていった夜に畑の作物を食べるため「夜盗虫」と書く畑で見つけた生きものたちずなのに、お腹に優しくすっと入っていく。英治さんは「玄米菜食をしていたら、スーパーのお菓子が食べられなくなって、それで自分で作り始めた」と話す。切り干し大根と葉玉ネギを使った料理もいただく。大根は干すことで栄養価が上がる。大根の甘みと葉玉ネギのシャキシャキとした食感がやみつきになり、たくさん食べてしまった。 ご飯をいただきながら実家でも切り干し大根を作ったり、こんな料理が出てきたりしていたな、となつかしくなる。切り干し大根は大根を干す、葉玉ネギは植え直すという少しの手間を加えることでできるものだ。収穫がないときに、スーパーに行かなくても食べられるものがある。昔からの知恵であったはずなのに、新鮮に思えた。最近は出来合いのものを買ったり、時期なども考えずに野菜を買ったりしている。そのような食生活がつづき、食べものの旬やそうでなくても食べられる知恵があることを忘れていたからだろう。生きかたとしての農業 農薬を使わなかったり、毎日農作物のようすを見たりと、一見大変そうに思える生活だが、それだけではないという。「自分たちで作ったものを食べて、ほどよい運動量があって。この生活をしていたらいつの間にか体調がよくなったんだよね」と英治さんは話す。美和子さんも「イモ類を保存しているのも室むろのなかだから、停電になったときもそんなに困らないんだよね。コロナになったときも、農作業のときは誰にも会わないし、マスクもいらないし。みんな大変そうだなって思っちゃった」と快活に笑い飛ばした。 私が大学に入学してからはコロナで大変だったね、と言われることも多かった。そしてあっという間に3年生になり、将来のことも考えなければならない。美和子さんが笑う声を聞くと、そんな不安もどこかへ飛んでいくようだった。* * * 人が生きていくために必要な食べ物を作る。工夫次第で自然の力をいっぱいに使って生活する。秋山さんがおこなう「自然と人間の調和点」を見つける暮らしは、そう簡単には崩れない。「生きかたとしての農業」はしなやかな強さをもっていた。秋山さんの畑には、多様な生きものがいた。どんな生きものが育っているかは、土の状態を教えてくれるそうだ。ヨトウムシの仲間 トマトの花 ヘビイチゴ茎をさわるだけでトマトの香りがしてくる
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