FN111号
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no.111 Jul. 2022 りとくつろいでいた。ミツバチは小さくてふわふわしていて可愛いらしく、私は一瞬でミツバチの虜になってしまった。 実さんは出入り口にいるミツバチたちを真剣な表情で見ていた。「巣箱の中の巣枠がハチミツでいっぱいになってくると、ミツバチたちのいる場所が無くなってきて、出入り口で群がるんです」と実さんが教えてくれた。実さんはミツバチたちが群がっている巣箱から順番にふたをとっていく。ふたをとるとミツバチがいっせいに飛び出した。ミツバチをとても可愛いと思っていた私でも、耳もとで響くブンブンという音に恐怖を覚える。視界の端から端までミツバチたちが猛スピードで落ちつきなく飛び回り、ときどき私の体にぶつかってバチッという音がする。ミツバチは人間と同じように天気で気分が左右されるという。今日はあいにくの曇りなので、少しご機嫌斜めなのかもしれない。 ふたをとったあと、燻煙器でミツバチに煙をかけ、落ち着かせてから巣枠を順番に確認していく。巣枠を持ち上げる瞬間、宝探しでやっと見つけた宝箱を開けるような気持ちになって、鼓動が速くなる。サッと持ち上げられた巣枠には、群がるハチと、その隙間からハチミツをいっぱいに蓄えた六角形の巣がのぞく。実さんがはけでミツバチを優しくどかすと、枠一面が黄おうごん金色になった。 枠の際きわのほうは、巣穴にハチミツがいっぱいになったためにハチが蓋をした「蜜みつぶた蓋」が確認できる。巣枠を持ってみるとずっしりと重く、ほのかにハチミツの香りがする。 ハチミツでいっぱいになった巣枠は持ち帰り、もともと巣枠のあった場所には新しい巣枠を入れておく。こうしておくとまたミツバチがせっせと蜜を集めてくれる。この作業をすべての巣箱で行い、ていねいに巣枠を回収していく。清純そのまま 事務所に戻ると、実さんのご両親と奥さんが私たちの帰りを待っていた。蜜をしぼる準備は万端で、さっそく実さんの奥さんとお母さんが作業にとりかかる。まず、遠心分離機にかけたとき、蜜がしっかりととれるようにあらかじめ蜜蓋をとる作業をする。2人がその作業にとりかかった瞬間、甘い香りが一気にあたりに広がって、雲の間から少しだけ顔①②③①巣箱から巣枠を取り出す(2022年5月31日) ②私の手の上でじゃれあうミツバチ(2022年5月17日) ③蜜蓋を取る(2022年5月17日)
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