FN111号
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食材食材量がうまく噛み合えばグンと生長が良いんですよ」と少し謙遜しながら真剣な眼差しで話した。今年も6月ごろからヤングコーンの販売が始まる。甘いトウモロコシが食べられるのを想像すると、ムシムシした季節も前向きに過ごせそうだ。 小俣さんが炭野菜を作り始めたのは、前職で伐採した木を炭にして、何かに使えないか模索していたのがきっかけだという。調べていくと、炭は土壌改良に役立つことがわかった。農作物の肥料として使えるのではと思い、近所の農家さんに声をかけてみたが、相手にされなかった。炭は普通の肥料に比べて価格も高く、土が改良されるかわからないため「成功したら使ってもいいよ」と言われたそうだ。私ならきっとあきらめてしまう。それでも小俣さんはその言葉で、農業をやってみようと決意を固めた。 そうして都留市と協力しながら連作障害を防ぐ炭野菜作りを始めた。野菜はおいしくできたが、コストがかさんでしまう課題があった。そこで、資金を安定させるために観光農園を5年ほど続けた。利益を出すところまではいかなかったが、観光バスが何台も並び、お客さんでにぎわっていたという。その後、直売所をつくろうとしていたタイミングで「道の駅つる」に出店しないかと声がかかり、今のお店となった。五感で楽しむジェラート 炭香ファームでは、炭野菜でつくられた12種類のジェラートが店頭にならぶ。トウモロコシやカボチャ、夏イチゴなど道の駅の前にある畑で収穫された食材を使う。収穫した野菜は、専用の冷凍庫で保存しているという。適当な温度で保存されるため、冷凍やけ4444することなく鮮度が保たれているのだ。ジェラートには、山梨県産の牛乳を使用している。使う野菜に合わせて、入れる牛乳の割合を変え、素材の味がわかるよう工夫しているそうだ。山梨県産の食材を使うことも大事にしている。 ジェラートづくりのきっかけは、東京で行われた農業の展示会だったという。ある会社のブースでトマトのジェラートが紹介されていたのが目に留まった。自分たちが作っている他の野菜でもできないかと、その会社に持ち込み、試行錯誤を重ねた。小俣さんは「今でもやろうと思えば100種類くらい作れるかな」と当時を思い起こしながら冗談交じりに笑った。 これまでに挑戦したけれど商品化できなかった野菜もある。匂いが強いものや味が薄いものは、ジェラートには向かなかったそうだ。一口食べて、なんの野菜が使われているのかわからないものにはしないと決めている。たしかにトウモロコシのジェラートには、つぶの食感が残っていたことを思い出した。収穫を待つトウモロコシ畑。これからどんどん大きくなっていく18頁、19頁の写真はいずれも2022年5月18日に撮影しました。
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