FN111号
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トマトの誘引作業。慣れない結びかたに戸惑ったが、「何にでも使えるからね」と生きる知恵を教わった(2022年5月14日)間前までポットで育てていた苗が植えられていた。私まで幼い子どもを見るような思いになってしまう。まずは誘ゆういん引とよばれる、トマトの茎や枝を支柱に固定する作業をおこなう。支柱というと、プラスチックのものを当たり前に想像していたが、使ったのは、自然を手入れするなかで見つけたという細い竹だった。その支柱に、引っ張ればほどけるような結びかたで、麻ひもを結んでいく。トマトが成長したとき、勝手にほどけるようにするためだ。そのあとはハウスの屋根にビニールをかけた。 日光が気持ちよく、久しぶりに外で身体を動かすと、いい気晴らしになる。作業が終わったあとは、湧き水で手を洗い、秋山さんの家でサトイモの煮物をいただいた。疲れた身体に染み渡る。ふかふかの土をさわり、作業のあとにおいしいごはんを食べる。五感で自然を味わった一日になった。旬を大切にする 農薬や化学肥料を使わない有機農業を営むお二人が大事にしているのは、野菜にとって一番気持ちいい環境をつくることだ。それは「旬」を大切にすることでもある。旬ではない時期に無理やり育てようとすると、病気になったり、虫に食べられたりするそうだ。「自然と調和する点を探していきたい」。そうおっしゃる二人の考えは、営む「三さんわ輪農園」という名前にも現れている。 その名前の由来はさまざまなところにある。美和子さんの名前の由来となった奈良の神社の名前や、英治さんのお父さんの会社が「さんわ」だったことがあるそうだ。買った車のナンバーも「さんわ」と読めたという。「偶然にしては出来すぎてるよね」と英治さんが笑う。「三輪」の三は土・太陽・水への尊敬、輪は循環という意味だ。家族や人だけでなく、自然とのつながりも大事にしているお二人だからこその名前だ。まさに「自然と人間との調和点」が大切にされている。 旬に合わせるため、5月ごろは収穫までの端はざかい境期にあたる。そこで農園で作った野菜を使った加工品や、室むろに保存していたイモ類などを食べるそうだ。そのお菓子をいただくと、おせんべいはお米の味がするし、さつまいもを使った芋けんぴはちょうどよい甘さだ。甘すぎたり、脂っぽかったりせず、お菓子のは
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