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17「都留市ってじつは能が盛んなんだよ」。都留のかたから聞いたその言葉が印象に残っていた。能というと高尚なイメージがあり、京都での修学旅行で少し見たことがあるくらいだ。都留には能舞台があるお家もあるという。また、お稽古には小学生も参加しているそうだ。都留と能が結びつかず、能をやっているかたにお話をうかがうことにした。都留の能の歴史 能は14世紀に確立したもので、600年以上の歴史を持つ日本の伝統芸能だ。また、能にもいくつかの流派があり、都留市内でも二つが活動する。今回は宝ほうしょう生流のみなさんにお話をうかがった。都留宝生会は、さらに清せいよう謡会、弥みふみ文会、友ともがき垣会と三つの稽古場があり、それぞれ先生をお呼びして月に何度かお稽古をしている。合同の発表会も行うそうだ。 能は江戸時代、将軍家の影響を受け各藩で奨励された。郡内を治める谷村藩も同様だったのだろう。そのころから、都留では能を楽しむ風土が作り出された。徳川家と都留がつながっていたことに驚く。同時に都留に能が根付いた長い年月に、気が遠くなりそうだ。都留でつづく能宝生会の発表会で、連吟(※)「高たかさご砂」を発表する3人。着物を着て謡うすがたが凛々しかった(2022年11月3日)※連吟:二人以上で声をそろえてうたうこと
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