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20no.112 Dec. 2022no.112 Dec. 2022「自分用の花を買って欲しいんです」。そう語るのは「アトリエ ミルティコロール」の店主、赤岡さやかさん(41)だ。赤岡さんは都留市田たのくら野倉で金曜と土曜にだけ営業する週末花屋を営んでいる。赤岡さんが考える花との暮らしの魅力をうかがった。週末花屋地域の小学校が終業式を迎えた真夏の昼下がり、はじめてお店を訪れた。入り口がわからず迷っていると、「暑いのにありがとうございます、どうぞ」と庭に面した窓から赤岡さんに声をかけていただいた。 ミルティコロールは、自宅の一室を利用した花屋兼アトリエだ。店内に入ると、花瓶に入った色とりどりの生花や天井から吊るされたドライフラワー、壁にかけられたリースが目に飛び込んできた。ピンク、赤、オレンジ。可愛らしい花に気分がぱっと明るくなる。鮮やかな色に見とれていると、赤岡さんは「自分の好きな色ばっかり選んで仕入れちゃうんです」と照れたように笑った。 赤岡さんが自宅で週末花屋をはじめたのは2年前のことだ。もともとは花屋で働いており、その傍ら自宅のアトリエでリースやハーバリウムなどの作品を制作していた。そして十分な作品ができると、週末に開かれるマルシェで販売していたという。「マルシェでお客さんやほかの出店者のかたとおしゃべりする時間が大好きなんです」と目を細める。 しかし、楽しみにしていたマルシェは新型コロナウイルスの影響ですべて中止になってしまった。マルシェの出店募集は3か月ほど前から行われるため、春には秋ごろまでの予定が決まる。マルシェに向けて制作を進めていた赤岡さんだったが、「先の予定まですべて白紙になってしまって」と声を落とした。ひとりマルシェ 「自分でやっちゃうか!」。作品をお客さんのもとに届けられずに悶々としていたある日、花屋の同僚との会話のなかでそうひらめいた。集まってマルシェをすることができないのなら、ひとりでも自宅でマルシェを開こうと思い立った。家族に相談すると、はじめは自宅に人が来ることに抵抗があったそう。のびのびと咲く生花が出迎えてくれた(2022年10月22日)自分がハッピーでいるために「自分用の花を買って欲しいんです」。そう語

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