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2424no.112 Dec. 2022おいしい材料あつめ すがやで使う材料は、すべて自然のものだそう。「黒糖を食べたとき、その島、その島の味が全然違って面白かったね」と晶子さんが教えてくださった。黒糖は、かりんとう饅頭に使用していて、西いりおもてじま表島のものを選んでいるという。ほかにも、醤油やもち米などは自分の舌でおいしさを何度も確かめる。栗や小豆は一年をとおして味や状態が違うため、色や香り、うまみが凝縮しているかどうかを見極める必要があるそうだ。多くの経験やこだわりを貫く気持ちがなくてはできない。 し・・・そ餅という和菓子は都留の和菓子屋さんならではの発想で作られた。「なんで都留に梅の和菓子が無いんだろう、都留の花は梅なのに」と思ったことがきっかけだという。しその葉は、梅干しの発色をよくするために使われる。独特の香りや葉っぱの食感が和菓子に合うとは思えなかった。しかし、しそ餅を食べてみると、優しいあんこの甘さにしその葉のすっきりとした香りが鼻に抜けて心地いい。少し粒が残っているお餅と、しその葉の食感も相性がよくて食べやすい。一度食べただけで大好きになった。 たくさんの選択肢から材料を選び出すのは簡単なことではない。それでも手を抜かず、一つひとつ自分たちで確かめ、おいしい材料を集めている。すがやの和菓子はそうやって多くの人に愛される味になっていった。楽しい食べかた お客さんには、和菓子をどのように味わってほしいのか、と賢一郎さんに尋ねた。材料や手作業など、こだわりが詰まっているため、感じてもらいたいおいしさがあるのだろう。しかし、「和菓子をきっかけに、会話ができればいいな」と予想外な答えが返ってきた。その人が満足するものを作りたい、と賢一郎さんは話す。たしかに、味わいかたは十人十色だ。それぞれが感じた味わいを話し合えたら、もっとたくさんの「おいしい」を発見できそうだ。 お客さんが見つけた、おいしい食べかたを教えてもらうこともあるという。例えば、最中を凍らせてアイス最中にするといい、白あんの最中はワインに合うなど、思いおもいの食べかたで和菓子を楽しんでいる。かりんとう饅頭の食べごろについては、お客さんと意見が分かれることがある。「作ってる本人としては3日目がいちばんうまいと思ってる。作りたてがおいしいって人もいるけど。だから賞味期限が(作ってから)3日になってるの」。すがやの和菓子の賞味期限は賢一郎さんのおいしいと思う瞬間が一つの基準になっている。今度、すがやで和菓子を買ったら注目してみよう。 こだわりが詰まった和菓子は、自分の味覚をとぎすませて味わえるおいしさと、誰かと小豆の皮むきのようす。「100メートル走を1本走るくらい」の体力を消費するらしい(2022年11月7日)

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