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45右上:ひとけのない御正体神社。リスが食べたあとなのだろうか、穴が空いたオニグルミが落ちていた左上:都留に来てから何度か富士山を見たが、今日ほど心が踊ったことはなかった。次の週には雪をかぶっていたく。晴れているからだろうか、今日は明るい印象を受ける。上までのぼって、これからの長い道中の安全を祈願する。さあ、次はどこへ行こうか。爽快にくだり道を進み、東ひがしかつら桂駅の近くまでやってきた。そういえば、近くに太郎・次郎滝があるから、そこにも立ち寄ってみよう。富士山を眺める 黒野田展望台から富士山を見ることができるようなので、のぼり坂の県道をひたすらに走っている。かれこれ1時間以上は漕いできた。ふと、横に視線を移すと大おおはた幡川を流れる水が澄んだエメラルドグリーンであるのに驚いた。さらに進むと、織物の神様と書かれた機はた神社がある。勾こうばい配も一段と急になり、山が間近になってきた。いよいよ富士山を、という前に「通行止」と書かれたゲートを見てしまった。どうやら、この先は工事中のため進むことができないようだ。残念ながら、引き返すしかない。 気持ちが落ち込み、ペダルを漕ぐ足が重くなったが、くだり坂なのでとてもよく進む。のぼるのに時間がかかった道も、くだりだと一瞬で過ぎていく。のぼるのは大変だが、その分だけゆっくりと景色を見つめることができる。坂をのぼる自転車のスピードは周囲の環境を楽しむのに最適な速度だと感じた。 お昼時、道の駅つるは多くの観光客やライダーたちでにぎわっていた。周りに広がる田んぼでは稲が黄金に実っている。ベンチに腰を下ろして休憩をしながら、午後はどこへ行こうかと考えた。 すっかり午後の日差しになってきた。私も自転車もまだ余裕がありそうなので、これから三つの峠に行ってみることにした。一つ目の鈴すずかけ懸峠を目指して、石いしぶね舟神社の横を曲がり、急勾配をのぼっていく。しばらくして振り返ると、周囲の山々から富士山が顔をのぞかせていた。まさか、ここで見ることができるとは。先ほどのひたすらにのぼった苦労も報われた気持ちがする。富士山まで幾層も山々が重なり合っている光景は、まさに都留の自然の豊かさを象徴しているようだった。峠をのぼる 車一台がやっと通れるほどの狭さの道を鈴懸峠に向かって、さらに進んでいく。少し葉右下:大小2つの滝が並ぶ太郎・次郎滝。本学からも近いので、たまにくるのもよさそうだ左下:黒野田展望台を目指して上っている時に撮影した。上ればのぼるほど川の流れが小さくなってゆく。護岸工事のされていない、川本来のすがたを見ることができた
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