FN112
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46no.112 Dec. 2022左:道坂峠近くで、夕日を眺める。長い1日が終わりを迎えようとしている 右上:すこしぼやけてしまったが、なんとかシカのすがたを写真に収めることができた 右下:長距離サイクリングも苦にならない乗り心地の愛車の「モッチ」が色づき鮮やかになってきた木々が道の両側から迫ってくる。峠に着き、道の駅で買った信玄焼を食べていると、一台の車がこちらに近づいてきた。車内から「どこまでいくの?」とご夫婦から声をかけてもらう。自転車には人と人を近づけてくれる不思議な力があるのを感じた。 二つ目の雛ひなづる鶴峠までやって来て、残すところは道どうざか坂峠のみとなる。少しばかり、気温が低くなってくる。ここまで、山の澄んだ空気のおかげか、疲れを感じずに来ることができた。しかし、さすがに太ももが張って痛くなってきた。自転車から降りて2キロほど歩きながら足を休める。徒歩では、なかなか景色が変わっていかない。電動アシスト自転車だからこそ、ここまで来ることができたのだと痛感した。日も陰りはじめ、山は茜色に照らされている。のぼっているので、ふだんよりも長く夕焼けを楽しむことができた。道坂峠が近づき、自転車のモニターを見るとバッテリー残量が3パーセントになっていた。自転車もお疲れのようだ。 頭上から「ひゃーひゃー」と森の住人の声がする。見上げると一頭のシカがいた。ふと後ろを見るとずいぶんと開けた場所にきていた。今にも沈む夕日を見ることができる。街灯がほとんどないので、最後のかすかな光まで味わうことができた。道坂峠から帰るころにあたりは漆黒の世界に包まれていた。都留を走る 市街地の灯りを見てとても安心した。山に行ったことで、感覚が研ぎ澄まされてきたのか、知らない道を発見する。行く先々では、立派に実った柿やお米を収穫している農家のかたがいて、都留の秋の訪れを楽しめた。自転車で走っていると、神社を何度も目にした。まちだけでなく、峠の近くまで神社がいくつもある。 ふだんの生活では通ることのない県道や山道を走ると、深くまで続く都留の山々のすがたを垣間見ることができる。時間をかけて自転車で走ると、その分だけ小さな気づきがあり、人や生きものとの出会いがあった。そんな、都留の自然と自転車の魅力を大いに体感した一日になった。これからも、自転車で走り続けよう。写真はすべて2022年10月22日に撮影しました。村井開(地域社会学科1年)=文・写真
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