113号HP用
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no.113 Mar. 2023 16がないといった表情で答えに詰まっていた。住み慣れた土地の公園のはずなのに、なぜ名前がないことを気にしないのだろう。赤坂にある公園1月22日はよく晴れ、風もなかった。日曜日の昼すぎで、追いかけっこやピクニックをしている人がいてもおかしくないが、この公園には私のほかに誰もいなかった。 グラウンドの隅に鉄棒とブランコ、そして犬の形をした遊具がぽつんとある。前回来た時にブランコの上にグローブの忘れ物があったが、もうなくなっていた。誰かが忘れたことに気づいて取りに来たのだろうか。ふと足元にタンポポの花を一輪見つけた。まだまだ冬の寒さが続くが、一足早く春を迎えていた。枯れ葉が広がる殺風景な公園の地面で、黄色がよく映える。タンポポの写真を夢中になって撮っていると、くるぶしのあたりがちくっとした。見ると、靴とズボンがくっつき虫(※)だらけになっている。しゃがんでくっつき虫を手で払うが、なかなか取れない。大人に近づくにつれ、くっつき虫が生えている道を通る機会は減る。貴重な体験だと思い、一つひとつ丁寧に取った。 厄介だったくっつき虫をなんとか取り終えると、公園の隣に住んでいる60代くらいの男性が庭の木の手入れをしていた。作業中すみません、と声をかけ、公園の名前をたずねると、「ああ、ちびっこ広場ね」と答えてくれた。昔は運動会や盆踊りなど、行事がよく行われていたという。今は人が来なくなってしまったものの、年に一回地域の人たちで草取りをしているそうだ。この桜が春になると咲くんだよ、と男性がブランコの後ろに生えた大きな木を指さした。これまでこの木を気にしたことはなかったが、桜だと知って驚いた。これほど背が高くて枝も多い桜の木ならば、春にはきっと多くの花をつけて華やかになることだろう。冬の寒さを乗り越えて春まで元気に咲いていてほしい(2023年1月22日)※アメリカセンダングサのこと

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