113号HP用
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26no.113 Mar. 2023 no.113 Mar. 2023 上:ていねいにドリップするようす。200ミリのコーヒーを淹れるのに5分ほどかけていた(2023年2月28日)下:淳一さん愛用のポット(右)と豆をひくためのコーヒーミル(左)(2023年2月28日)で飲食店を営むかたとも仲がいいそうだ。都留市にきたからこそ、このような関わりがもてたのだろう。淳一さんはこうした地域のかたがたとのつながりを大切にしている。 淳一さんに都留の魅力について尋ねると、迷うことなく「人との交流じゃないですか」と語る。「村井さんすごく素敵じゃないですか。やっぱり、そういうかたに出会える機会が多くなりましたね」と、まっすぐに私の目をみて真剣におっしゃる。少し気恥ずかしかったが、その言葉に勇気をもらえた。受け入れる心 後日、淳一さんからコーヒーボランティアのお誘いを受け、私も参加した。工程を教わりながら、コーヒーを淹れていく。じっさいにやってみると予想以上に難しい。ドリップするときに、豆にしっかりと水分を含ませなければいけないが、お湯を注ぎすぎたため、すぐに水滴が落ちてきてしまった。それでも参加してくれた人が何も加えず、ブラックでも美味しいと言って飲んでくれたことが嬉しかった。 その日は、はじめて参加されるかたも多く、一緒にコーヒーを淹れると自然と会話がはずむ。社会人や年配のかたなど、ふだん接する機会があまりないかたともお話できて新鮮だった。 都留市には都会のように多くの人が住んでいるわけではない。けれども、たくさんのいい出会いがある。大切なのは気持ちが通じる仲間とつながることだ。学校や職場だけでなく、ボランティアを介して人が出会い、心を通わせる。コーヒーボランティアにはそんな出会いがあった。* * * 「(沖縄の良さには)きてくれてありがとう、というようなウェルカム精神があるのですよ」と淳一さんは教えてくれた。コーヒーボランティアに、はじめて参加した人にも、淳一さんはやさしく話しかけていたのを思い出す。沖縄のウェルカム精神と海外で学んだ相手を受け入れる姿勢が淳一さんの人柄をつくっている。だからこそ、人との関わりが濃い都留市に魅かれ、生活になじんでいるのだろう。 私はこのまちにきて1年が経つ。すっかりここでの生活にも慣れてきた。都留市には、本学の学生や移住者など、県外から多くの人がやってくる。本誌やボランティアを通じて、これからもたくさんの人に出会うだろう。そんな都留市の魅力である出会いを、淳一さんのように私も大切にしていきたい。村井開(地域社会学科1年)=文・写真

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