113号HP用
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3131寒波にどうやって耐えるのだろう。都留一年目の私にもその秘訣を教えてほしい。接写を楽しむ もう少し自然との距離を縮めてみよう。その思いから1月26日の昼ごろ、本学のうら山に足を踏み入れた。昼間だが気温は3度で、優しく射し込む太陽の光だけがほのかにあたたかい。歩いていると、地面がぼこりと盛り上がっているところを見つける。霜柱だ。最近は、舗装された道ばかり歩いていたから、見るのもずいぶん久しぶりな気がする。こわごわと霜柱を足で踏みしめると、足のうらに硬い感触が伝わってきた。それとともに聞こえてくる、ざくっという音がなんとも懐かしい。 30分ほど登っていくと、見晴らしの良い場所にたどり着いた。都留を一望し、なんとなく写真を撮るも心が踊らない。思えば、今まで上から見下ろした景色に面白さを感じたことはあまりなかった。冬の山は予想していたより華やかな色味に欠けていて胸のなかには、もの寂しい思いだけが広がった。 しかし、せっかく登ったのだから、冬の景色を楽しみたい。そういえば、カメラにマクロモードがついていたはずだ。マクロモードとは照準が短く、接写に適した撮影モードのことだ。私が使うカメラはおよそ指2本分、4センチほどの距離でようやくピントが合う。その距離まで対象に近づくことは滅多にないため、今までと違う視点で歩くことができるのではないか。そう期待してカメラを片手に歩きはじめた。 目についたものに手当たり次第、近づいて写真を撮っていく。まず見つけたのは白い綿毛がふわふわして気持ちよさそうなススキだ。それをマクロモードで覗いてみる。風にゆられる綿毛のなかに、くすんだ茶色のつぼみのようなものが見えた。そこからヒゲのようなものも伸びている。触れば、思いのほかザラザラとしていて荒っぽいように感じた。今までススキには、やわらかな印象をもっていたが、はじめて違う一面を知った。 地面に落ちていた大きなホオノキの葉にもマクロモードで近寄ってみた。葉の表面はかさついておらず、案外つやつやとしている。葉脈にも注目してみると、はっきりとした線だけでなく、ワニのウロコのような模様の、こまかな線を見つけた。小学校の理科の授業ではこの葉脈の存在は教えてもらわなかった気がする。きっこのページの写真はすべて2023年1月26日に撮影しました。③ ススキ④ ホオノキ ①② 霜柱は地中の水分が凍ることによってつくられる。地中と地表の温度差と土壌の水分量が肝心で、東日本で多く見られる③ ヒゲのように細長く伸びている部分は芒(ノギ)という。動物の身体にくっついて種子を遠くまで運ぶという役割をもつ④ 写真の葉は25センチほどの大きさだったが、なかには50センチにもなる葉があるという①②

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