113号HP用
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伊藤瑠依さんのお話 伊藤さんと初めて会ったのは、パソコンの画面上だった。私が入学した2020年は感染症の影響で学内への立ち入りが制限され、毎週の編集会議もオンラインで行われていた。そのなかでも本誌を発行できたのは、伊藤さんが編集を支えてくれていたからだ。 「もう3年か。あっという間だったね」と伊藤さんの事務所で温かい昆布茶をいただきながら思い出話に花を咲かせる。編集作業を手伝ってもらうほかにも、文章やレイアウトの組みかたといった編集の基本を、新入部員にもわかりやすい講座を開き教えてくれたのだ。この繋がりがあったからこそ、20周年のロゴを伊藤さんに依頼しようと決めた。   ロゴは私たちの20周年に対する思いやイメージをもとに作られた。はじめてロゴを見たとき、「これだ」と感動した瞬間は今でも覚えている。それを伝えると伊藤さんは「みんなの思いやアイディアがあったからだよ」とすこし照れたようすで話した。 このロゴは歴代の先輩から今の編集部、そして未来の『フィールド・ノート』へと積み重なっていくようすを年輪で表現している。歴史とは違った、生活に根ざした物事を丁寧に記録し続けることに意義があると、伊藤さんは本誌への思いを言葉にした。「自分が編集部員だったときは気がつかなかったけどね」と軽やかに笑う。 私たちはふだん何気なく通り過ぎてしまうものに焦点を当て、学生の視点を持って記事を書くことを大切にしている。ロゴがカタツムリに見える、と編集部で話題に上がったことがあった。伊藤さんはカタツムリを連想していなかったそうだが、目の前のことを丁寧にじっくりと「カタツムリのように」書き記していく私たちにぴったりだ。ゆっくりでもいい、歩みを止めずにこれからも進んでいきたい。本誌編集室は、本学4号館の地域交流研究センター内にある。入口には20周年の大きなパネルが飾られている。今回は、編集部の卒業生で20周年ロゴを制作してくださった、都留市内でデザイン会社を営む伊いとう藤瑠るい依さん(28)と、センターの空間デザインを担当してくださっている本学美術教員の青あおき木宏ひろき希先生(49 )にお話をうかがった。阿部くるみ(地域社会学科3年)=文・写真モグラの通り道をイメージした。コーヒー豆のようなシカの足跡も都留ならではの自然を表現している。切り株の年輪をイメージした。地域とのつながりや、これからも冊子が続いていくことを表現している。ー20周年企画①ー34no.113 Mar. 2023 想いをカタチに

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