113号HP用
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35青木宏希先生のお話 青木先生は2021年10月から地域交流研究センターと関わりはじめた。それまでは「不思議なものがたくさんある部屋だなと思っていた」と楽しそうに話す。幼いころから、土器や江戸時代の瓦など、人の痕跡があるものを集めるのが好きだったという。室内に展示されている動物の骨や木の実などを見るたびに、幼いころの自分を思い出していた。そして、もし自分が関わったらどんなことができるだろうかと密かに構想していたそうだ。 地域交流研究センターで活動をしていくにつれて、本誌についてより深く知るようになったという。「毎週の熱のこもった会議とかね。学生のみなさんが気になったことを自分の言葉で表現しているのを見て、想いが込められた冊子なんだって知ったんだよ」と嬉しい言葉をいただいた。 2022年に本誌が20周年を迎えたのをきっかけに、室内のデザインを担当してくださっている。現在は、表紙をパネルにしたものを含め、本誌112冊すべてを展示している。青木先生は「一冊ごとのすごさはもちろん、100冊を超える号数の厚みを(地域交流研究センターを訪れた人に)広く知ってもらいたい」と話した。 本誌が並べられた可動式の棚や、毎週の会議に欠かせない大きな机もすべて青木先生が製作したものだ。なるべくシンプルにし、質感や色味を統一することを心がけていると教えてくださった。展示されているもの以外の情報を減らし、それ自体にフォーカスできるように気を配っているという。また棚は可動式のため、部屋の配置に合わせ自由に変えられるようになっている。 「もっとみなさんが使いやすいように工夫していってください。机に穴を開けたって、絵を描いたっていいんですから」とおっしゃる。使う人が色付けることで、そこに存在や時間が記録されていく。青木先生が作りだす空間は、今を観察し記録する、私たちの姿勢と重なっている。右:100号を超える本誌が並ぶ展示は、今までの歴史を感じさせる左:センターの入口。あたたかな雰囲気の空間が広がる写真はすべて2023年2月27日に撮影しました。
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