114号HP用
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1515151515柄杓流川のカカシの秘密コラム川岸に立つカカシ。釣りをしているとき、誰かに見られている気がして振り向くと見つけた(2023年5月3日)プールの監視員のように、高台から魚たちを見守っています今にも倒れてしまいそうなところを、まわりの木に支えられている私だけぼうしをかぶっていません。木陰にいるので熱中症の心配はありませんカカシも橋の上は寒いのか、重ね着をしている笑っているのか泣いているのか不思議な表情に惹かれるはじめてこの川を訪れたとき、橋の上で1体のカカシが出迎えてくれた。川沿いを歩くと、ほかにもたくさんのカカシが立っている。いったい誰が、何のためにカカシを立てたのだろう。普ふもんじ門寺の住職で、都留漁協組合の広報担当でもある山崎和かずお雄さんにお話をうかがった。これらのカカシは、アユを守るための鳥よけだという。天敵のカワウがアユを食べてしまうのを防ぐためだ。害獣から野菜を守るために畑に立つカカシと役割は似ている。川の上で風になびくホログラムの短冊も、防鳥のためだ。 カカシの材料は漁協組合で用意したもので、組合のかたの不要になった服を着せているのだとか。また、かかしは毎年作り替えており、例年4月に、同じ場所に同じ数だけ設置している。柄流川~桂川~院辺橋のあたりにかけて約30体ほどのカカシが立っているそうだ。確認する限り、柄流川には11体のカカシが立っていた。(2023年5月3日現在) 私たちが豊かな環境で釣りができるのは、カカシたちのおかげだったのだ。そのことを知ってから、はじめは少し不気味に感じたカカシの表情が、頼もしく優しい表情に見えてきた。短冊
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