114号HP用
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no.114 Jul. 2023 2424no.114 Jul. 2023 2424あたたかさにふれる前号で取材をした保ほ寿じゅ院いんの住職である小こ宮み山やま壽じゅ芳ほうさん(63)が、花まつりのことを教えてくださった。私は、はじめて聞くこの行事に興味を惹かれた。どのような意味が込められたまつりなのだろう。夏なつがり狩にある耕こううんいん雲院で行われる花まつりに参加することにした。変化した在りかた花まつり当日を迎える前に基本の知識を持っておきたくて、耕雲院にお話をうかがいに行った。耕雲院は、本学から自転車で15分ほど西へ向かった先にある。取材の日である3月31日、下り坂と上り坂が交互につづく道を自転車で漕いでいく。途中で足が痛くなり自転車を押しながら歩いていると、地面に咲く花を見つけた。花まつりの取材前に花を見つけたことに少し嬉しくなる。気を取り直して向かうと、耕雲院の入り口が見えてくる。入り口から境内につづく一本道が私を出迎えてくれた。お話をうかがったのは耕雲院の副住職である河かわ口ぐち智ち賢けんさん(44)。よく通る声とたくましい笑顔にこちらも明るい気持ちになる。玄関を入ってすぐ横にある小さな部屋に案内していただき、さっそく取材を始めた。花まつりとはお釈しゃ迦か様の生誕を祝うまつりのことだ。毎年、お釈迦様の生誕日である4月8日に行われる。人びとは花はな御み堂どうと呼ばれるお堂のなかにある誕たんじょうぶつ生仏に甘あまちゃ茶をかけることで生誕を祝う。耕雲院で花まつりが始まったのは、今から30年前の1993年らしい。私が生まれる前から続いているということにとても驚いた。30年という長い月日のなかで耕雲院の花まつりの在りかたは大きく変わったそう。きっかけに、社会全体のお寺の在りかたや、人びとのお寺に対する意識の変化がある。河口さんがおっしゃるには、30年前は現在よりもお寺と地域は密接な関係にあったそう。しかし、ときが流れる①ほほえむ誕生仏 ②甘茶を片手に談笑する人びと ③会場で配られていた甘茶 ④まる屋さんの「とり天」①②③④
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