114号HP用
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昌彦さんの作り出した空間はとても居心地がいい。「なんだか言葉にはできないけれど、ずっと居たくなる感じ」と素直な気持ちが思わずこぼれた。すると昌彦さんが「言葉にできちゃうのは違う。言葉にできない居心地のよさが自然で、正解」とおっしゃった。昌彦さんのなかでは、どのような空間が人びとを惹きつけ、穏やかな気分にさせてくれるのかはっきりしている。それは実現したい目標や理想となって、昌彦さんの好奇心をくすぐっているのだ。今は、外にデッキを作っているそう。原動力は「やってみたい」という気持ちだ。自分の気持ちに素直になって、やってみることの楽しさでCafe織水は満ちている。おいしいとうれしい織水では、ヴィーガン料理を提供している。これまで私は、「健康に良い食べ物は味が薄そう」、「物足りない気がしてしまいそう」、という偏見を少し持っていた。しかし、織水の料理はお腹も心も満たされる。とくに、スウィーツはふんわりとした優しい甘さが口に広がっていく。スウィーツのアイデアを考えているのは由実子さんだ。もともと食べることは好きだったが、料理はあまり得意ではなかったらしい。しかし、体調を崩したことがきっかけで、健康と食事に興味を持ったという。由実子さんは東京の料理教室に通っている。学んでいるのはジャパンズヴィーガンというらしい。炊いた穀物を、海の塩や味噌、醤油など日本の伝統食材を使って食べるのが特徴だ。「いろんな食事法を試してきたけれど、体に合わないと続けるのがつらくなってしまう」。健康によい食事とは、栄養価が高いだけではなく、自分の体との相性が大切だということをはじめて知った。真剣に自然食を学ぶ由実子さんのすがたは、研究熱心という言葉を連想させる。「おいしいものがさ、健康によかったらうれしくない」由実子さんの目は、もっと知りたいという気持ちと新しいスウィーツのアイデアでワクワクしているように見えた。こちらまで夢中になれるなにかを探したくなる。知りたい気持ちのワクワクを由実子さんは教えてくださった。私の心はどんなものに惹かれるのだろう。由実子さんは今年の1月から月に2回ほど料理教室を開いている。自然食と出会った経緯や、学び続けているからこそ実感できる「人は食べた物でできている」ということを伝えたいという。料理教室の参加者からは「自然の食材は優しい甘さですね」とよく言われるらしい。私が織水のスウィーツを食べたとき感じたことと同じだ。けれども、甘味を含む食材を使っていることだけが「優しい甘さ」料理教室のようす。雑穀が主役のおかずやスウィーツを作って自然食の魅力を学べる(若林さん=写真提供)no.114 Jul. 2023 3030no.114 Jul. 2023 3030no.114 Jul. 2023 3030no.114 Jul. 2023 3030no.114 Jul. 2023 3030no.114 Jul. 2023 3030no.114 Jul. 2023 3030no.114 Jul. 2023 3030no.114 Jul. 2023 3030no.114 Jul. 2023 3030

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