114号HP用
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99左:「白糸の滝」のすぐ下を流れる「下見の滝」。岩盤の表面を包むように水が流れている(2023年4月28日)右上:400メートルほどの1枚の岩盤の上を流れる「神鈴の滝」。周囲にくらべてひらけたところで青空が広がっていた(2023年5月28日)右下:「白糸の滝」の下からはじまる小さな流れ。流れの幅は私の靴の大きさほどだった(2023年4月28日)盤だ。足元の小さな水たまりには、後ろ足が生えたオタマジャクシたちがひしめき合って泳いでいる。空を見上げると、明るい場所を好むアカマツが生えていた。下したみ見の滝「白糸の滝」に向かおうと、さらに西へ進む。曲がりくねった山道を進んでいく。自転車を止めて5分ほど歩くと、狭い階段があらわれた。すぐ横が崖になっているので少し怖いが、頑丈な金属パイプの手すりのおかげで安心して登れる。足元はごつごつとした岩場になっていた。目の前に、高い岩の壁が立ちはだかる。岩盤の上で、小さな流れが白く輝く「白糸の滝」に着いた。滝の下を見ると、小さなちいさな流れがはじまっている。この流れがだんだんと大きくなって桂かつらがわ川に合流する。そして、都留を通り、途中で相さがみ模川と名を変えて神奈川県の相模湾にそそぐ。この水が海まで流れていく途中で、多くの人の暮らしを支えているのだろうと想像を膨らませる。すると、視線の先を流れる何気ない水の流れが、特別な存在に見えてきた。帰り道に「白糸の滝」のすぐ下を「下見の滝」という滝が流れていることに気がついた。「白糸の滝」に比べて滝幅が広いので、水の流れは観察しにくい。けれども、森のなかを貫く「下見の滝」は、木々に水を運んでいるように見えて、その光景に胸を打たれた。周りに目を向けてみると、どうやら歩いてきたところも含めて岩盤に覆われているようだった。水が流れているところだけ岩が露出している。「白糸の滝」や「下見の滝」もひとつの大きな岩の上を流れているようだ。木々は浅い土壌の上に根を力強くはっている。たとえ絶壁の上に生えていたとしても、まっすぐに上を目指して生きる植物たちのすがたが目の前にあった。「天あまの滝」近くの大きな岩盤地図で三つ峠駅と東ひがしかつら桂駅の真んなかくらいの場所に「天の滝」という滝を見つけた。「下見の滝」から4キロほど下流に行ったところにある。「天の滝」の上までやってきたものの、降りかたがどうにもわからない。自転車で少し進んでみると、フェンスの入り口があったので近寄ってみる。どうやら、クマやシカな

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