FN115号
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24no.115 Dec. 2023 都留なぜ「都留」という名前なのだろう。市名の由来が気になって、市のホームページをのぞいてみた。どうやら、富士の裾野に広がる地形を、植物のツルが伸びるようすに例えたことが由来のひとつらしい。では、このまちには、じっさいにどんなツル植物が生きているのだろうか。ツル植物をさがして、本学うら山を中心に歩いてみた。の印南響(比較文化学科1年)=文・写真地面に落ちていたクズの豆。触ると、かさかさと乾いた音を立てた。時間が経つと、さやは黒くなる(2023年10月10日)クズにおおわれた電柱(2023年9月24日)身近なツル植物ツル植物とは、茎や幹で自立して生えずに、ほかの植物や物に巻きついたり、這はったりして生長する植物のことだ。そうした植物といえば、私はまっさきにクズを思い浮かべる。夏になると、草むらや空き地など、いたるところで緑色の葉をわさわさと茂らせているからだ。7月下旬、うら山へ向かう坂道をのぼっていく途中に、青々としたクズを見つけた。山の斜面から道路のほうへ今にもあふれだしそうに生えている。木におおいかぶさるように葉を広げているので、木の葉とクズの葉の境目がわからない。よく観察してみると、クズの葉は3つに切れこんでいる。1枚1枚が大きくて立派だ。赤紫色や紫色の花も咲いている。花びらの中心にぽつんとある黄色が華やかだ。9月下旬のある日、道沿いの木に巻きついているクズに近づいてみた。すると、すぐ下の地面に豆がたくさん落ちている。花が枯れて豆ができていたようだ。枝豆によく似た形だが、中身が入っていないのではないかと思うほど平べったい。さや全体に濃い茶色の毛がびっしり生えていて、ざらざらと手をくすぐる。茶色の毛は、手のなかで日差しを受けてきらきらと光った。あたりが暗くなってくると、クズの葉におおい隠された木や電柱の輪郭が黒々と浮かび上がってきた。昼間のはっきりした色合いとは大違いだ。別の巨大な植物がそびえ立っているかのようで、少し怖い。これは夏にだけ出現する怪物で、葉っぱでできたしっぽを引きずり、夜に動き出すのではないかと想像がふくらむ。ひとつの植物でも、観察する季節や時間によってさまざまなすがたを見せてくれる。特徴をあらたに見つけるたびに、図鑑と答え合わせをしているようでどんどん楽しくなってくる。
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