FN115号
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28no.115 Dec. 2023 ※①②③はP.27マップ参照ピンク色のリコリスの花。ランナーを応援してくれているようにも見える(2023年10月29日)まちの風景を楽しむそよ風が心地よい10月中旬の朝、本学から大月方面へ6キロほどのところにある「道の駅つる」を目指す。練習もかねて電車を使わずに走っていこう。ランニングはいつぶりだろうかと考えながら、都留市役所の横を流れる家かちゅうがわ中川に沿って進む。思っていたよりも身体がなまっていて、なかなか前に進まない。だんだんと足取りが重くなってきたので、少しペースを落として水路の流れにあわせて走ってみる。まるで、私も水路を流れているような感覚になり、さっきよりも足取りが軽くなった。澄んだ水のなかには水草が生え、水辺の生きものが集まる。そして、流れる水の音が都留のまちをにぎやかにしている。1時間ほどで「道の駅つる」に到着した。今度は、出場する3キロのコースを歩いてみよう。夏休みにも3回ほど自転車で下見をしていた。そのときに、したたる汗を拭いながらぺダルを漕いでいたのを思い出す。ふと、山を見ると初夏に若葉が茂っていた山肌も濃い緑色になっていた。しばらく進み、中央自動車道に並行する道(※①)を歩く。耳を澄ませていると、草むらから虫の鳴き声が聞こえてきた。ころころころというコオロギのような鳴き声に、ぴーぴーとかすかに鳴く虫の声が重なる。コオロギは夏の虫のはずだが、日当たりのよい場所はまだ暑いから鳴き声が聞けたのだろう。さらに進むと、禾かせい生第二小学校(※②)のうすいオレンジ色の校舎が見えてきた。遠くには、岩いわどのさん殿山が岩肌をのぞかせている。夏に子どもたちが元気に泳いでいた学校のプールも、にごった緑色になっていた。校庭には誰もおらずがらんとしていたが、校舎の横道を通ると、子どもたちの元気な声が聞こえてきた。そこから1キロほど歩き、スタート地点の近く(※③)まで戻る。「道の駅つる」の周りには、田んぼや畑が広がっていて、そのあいだを水路が通っている。周りの山々が見え、土の香りがする空気を味わうことができる。ここは私のお気に入りの場所だ。何度もコースを通るうちに、畑の一角や民家の庭先で花が咲いているのが目に止まるようになった。気づけば、まちを観察するたび、季節によって変化していく花々を見るのが楽しみになっていた。コースの周辺は、天気がよい日でも、すれ違う人はまばらだ。しかし、まちにさみしさがない。きっと、畑や庭先に花を植えたかたの、花を大切にする温かみを感じるからだろう。ランフェスでこのコースを走るのに期待が膨らむ。都留で走る楽しみ11月19日の日曜日、大会の当日は雲ひとつない快晴だった。朝は肌寒く、ウインドブレーカーを着て会場の「道の駅つる」へと向かった。開会式の時間にあわせて到着すると、すでに多くのランナーが集まりウォーミングアップを始めていた。久しぶりの大会という緊張と、寒
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