FN115号
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32no.115 Dec. 2023 32向き合い続けてきた目「サイクルセンター川辺」は三さん町ちょう商店街のうら道にある。ここでお店を営むのは、川辺健けん一いちさん(84)だ。本誌89号では、「アートで届ける山野草の魅力」について取り上げられている。お店の奥に進むと川辺さんが描いたマムシグサの絵が飾られている。本誌の過去号も置いてあり、本誌を大切にしてくれていることが伝わってきて嬉しくなった。さっそく自転車を見てもらう。一か月ほど前に後輪がパンクしてしまった。修理が得意な友人に直してもらったが、念のため、もう一度見てもらうことにする。川辺さんがパンクした箇所を見て、「大丈夫だよ」とおっしゃった。ほっと胸をなでおろしていると、川辺さんが自転車のカゴに手を置く。「ここ曲がっているね」。どこが曲がっているのか私には分からない。どうやらハンドルステムという部分が曲がっていたらしい。ハンドルステムはハンドルバーを支えるパイプ状の部品だ。この部分が曲がっているとうまくバランスを取ることができず、走りにくくなってしまうという。毎日乗っている自転車なのに、曲がっていることに気づかなかった。川辺さんがすぐに異変に気づいたのは、長いあいだ自転車と向きあってきたからにちがいない。お店の奥のショーケースに、赤と青のペンで「62周年!」と書かれた張り紙を見つける。こんなにも長く都留の人びとに愛され続けているのには何か秘訣があるのだろうか。自分だけの感覚を磨く大学生になり、移動手段として自転車に乗る機会が増えた。私は青色が映えるかわいらしい自転車に乗っている。いつも乗る自転車のメンテナンスをしたくて、友人から教えてもらった「サイクルセンター川かわべ辺」という自転車屋を訪れた。自身が修理をしているようすに「かっこいいでしょ」とつぶやく川辺さん。ふいに見える余裕のある表情が良い(2023年10月11日)川辺さんが書く文字の力強さと、言葉選びに頼もしさを感じる(2023年12月4日)
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