FN115号
37/56
3737【参考書籍】『きのこの教科書』佐久間大輔2019年に豊かな自然が広がっていることを実感できた。生きものたちが生活できる環境を作るためには、生態系を支える存在が必要だ。倒木や地面から生え、森と共存しているキノコのすがたを観察することで、キノコが担っている重要な役割を理解できた。***今までキノコは種類が多く、さまざまな色や形があるということしか知らなかった。キノコの「生態系を支える」という役割を言葉として知り、じっさいにその役割を果たしている現場に行ってみる。すると、本来の役割を担っているキノコのすがたを間近で見るだけでなく、キノコが支えている周りの環境にも目を向けるようになった。そして、キノコが森のなかや私たちの生活に近い場所で、周りの自然と関わり合いながら生きているようすが見えてきた。キノコがうら山の環境を支えているから、生きものたちの生活は守られている。キノコの働きのおかげで、うら山の豊かな自然が保たれていることに観察を通して気づけた。根本菜桜(比較文化学科1年)=文・写真コフキサルノコシカケだと思われるキノコの変化のようす。キノコはすっかり色あせて、数が減っている(左:2023年7月20日、右:2023年11月4日)いだけで、じつは人間の生活に近い場所にはたくさんのキノコが隠れている。うら山を住すみか処とするものたち観察を重ねていると、うら山に生息する生きものたちとの思わぬ出会いもある。ある日、足下に転がっているクリやドングリに魅了されながらうら山を歩いていると、開けた場所で小さなバッタの大群に出会った。飛び跳ねるバッタたちを、踏まないように注意していると、カマドウマもいることに気づく。都留に来てから小さな虫への耐性はついたが、いまだに大きなカマドウマは見慣れていないので、思わず声が出てしまう。別の日には、体長15センチほどの大きなヒキガエルに出会った。斜面の落ち葉と同じような体の色でじっとしていたため、気づかずに通り過ぎてしまうところだった。その後、カエルを捕食中のヘビにも出会った。表面に赤い斑点の入った野生のヘビは、口を大きく開けて、ヒキガエルを飲み込もうとしている。食事中の野生のヘビと出会ったのは、はじめてだ。恐ろしいというよりも嬉しい。野生の生きものたちとの出会いで、うら山『小学館の図鑑NEO[改訂版]きのこDVDつき』杉本隆2017年
元のページ
../index.html#37