FN115号
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40no.115 Dec. 2023 日中は、小さな子どもが遊ぶようすが見える。夜は鹿が山から降りてくるそうだ(2023年12月2日)「Cafe&Dining tタイニーメニーinymany」は、今年の6月に「田原交流センターnニコットicot」の1階にオープンした。気になって足を運ぶと、開放的であたたかな空間が広がっていた。この場所についてもっと知りたい。そう考えた私は、代表の黒くろさわ澤駿しゅんさん(30)にお話をうかがうことにした。森のカフェ店内に入ると、大きな窓に目を奪われる。ガラスいっぱいに、橙だいだいいろ色の芝生と深緑色の山が切り取られていた。いつも見えている山がいっそう美しく見えるのは、窓枠の黒が緑を引き立たせているからだろう。夏に来たときは緑が多かったが、今は黄色と橙色の葉っぱに変わった。もう秋になったのか、と時の流れの速さに驚く。都留を囲む山も、まばらに黄色く色づいてきている。空気が澄み、日が落ちると夜空の星が輝いてみえる日が増えてきた。ぽかぽかした日が差しこむ、いちばん窓ぎわの席に腰をおろす。机や家具にも植物が飾られているのを見つけた。こちらの植物も、季節にあっている。どうやら、季節にあわせて置くものを変えているよう。木と植物に囲まれていて、カフェ自体が森のようだ。お話をうかがった黒澤さんは、本学の卒業生だ。今は「tinymany」の代表をし、キッチンカーとカフェの経営をしている。もともとアウトドアが好きな黒澤さんは、学生時代に都留の自然に魅せられたそう。美しい山や星空、空気といった都留の豊かな自然を感じてほしいという想いから、店内でも自然を楽しめる工夫をした。どの席に座っても植物が目に入るよう設計したり、都留の木を使って机や棚を作ったりしたのも、そのためだ。あらためて店内を見回すと、木のぬくもりを感じる。机をひと撫ですれば、注がれたあたたかな想いに触れた気がして、なんだか心がぽかぽかした。どんな人も過ごしやすくカフェにはたくさんのお客さんが来る。ある日は作業服を着た男性や大学生らしい人が、またある日は、赤ちゃんを連れた女性たちが会話と食事を楽しんでいた。カフェの四角い木のテーブルはどれも同じデザインのため、好きなように動かして大きなテーブルとして使うことができる。席の隣にベビーカーを置いても食事をする空間が十分に取れるため、ゆったりと過ごせるのだろう。また、カフェの隣に地域のお子さんを預けられる「子育て支援センター」があるため、お子さんを連れていきやすい雰囲気になっているのかもしれない。

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