FN115号
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48no.115 Dec. 2023 てまひまをかける「tokidoki /発酵食堂」は、その名の通り発酵食品を使った料理を提供する予約制のお店だ。蒸し料理を中心に、自家製の豆腐や糀こうじを使った食事を提供している。切り盛りするのは杉本希のぞみさん(36)だ。カットソーの上に「tokidoki」と刺繍が入ったエプロンという飾らない格好が、質素で落ち着いた店内に溶け込んでいる。お店に入ると正面にメニューが書いてあり、主菜は甲州地鶏と富士湧水ポークから、お米は白米と黒米の2つから選ぶことができる。今回は甲州地鶏と黒米を選んだ。せいろを開けると野菜とお肉が並んでいる。蒸されたことで、野菜の色を強く感じる。食べてみると野菜やお肉が甘い。食材の甘みだけで食べられそうだ。蒸すとこんなに美味しくなるのかと思わず顔がほころぶ。そこに自家製のタレをつける。4種類あるタレは、食材の甘みと調和していて、どんどんごはんが進む。とくに私が気に入ったのは茶わん蒸しだ。豆腐の上にはあんかけと生姜が乗っている。東北地方で冬至の日に食べる茶わん蒸しだそシンプルなのに何度も食べたくなるごはん(2023年10月17日)うだ。一口食べればあんかけの優しい甘みと生姜でじんわりとからだが温まる。小鉢は季節や気候によって不定期で変わる。今回は自家製の葛くずゴマ豆腐だ。週のはじめに食材を見て「今週はこれでいこう」と決めることも多いそうだ。メニューが変わらないときは、常連さんの小鉢だけ違うものにすることもあるという。毎回の食事を楽しんでほしいという気づかいが行き届いている。希さんの料理は、食材が持っている甘さやうまみが最大限に引き出されているように思笑顔でお話してくださる希さんに、会うたび元気をもらっている(2023年9月27日)2023年4月、「バンカムツル」の2階に「tokidoki / 発酵食堂」が開店した。高校時代に体調をくずすことが多かった私は、体にいい発酵食品を提供していることにひかれ、昼食を食べに行くことにした。その時々を大切にtokidoki
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