FN115号
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9きて苦しくなっちゃうときがあって。それをぐっと引き戻してくれるの、あずちゃんは」。寺岡さんは矢野さんと会話をすることで、お弁当の届けかたや、どうしてお弁当を食べてほしいのかを深く考えることができたという。「私がどう在りたいかという表現方法がごはん。応援のできる、勇気づけられる、元気になれるお弁当を作りたい」と寺岡さんは気持ちを確かめるようにおっしゃった。「自分がどう在りたいか」を考える機会は日常生活でそれほど多くないだろう。一人では答えを出せないこともある。しかし、ココニールは、何でも話せる場所であり、真剣に話を聞いてくれる人がいる。誰かと話をすることでたくさんの気づきを得られる場所だ。「自分のまま」で居られる場所ココニールへコーヒーを提供しにくる団体もある。コーヒーボランティア「カフェキャマラード」は、矢野さんからの依頼を受け、月に一度美味しいコーヒーを届ける。三さいぐさ枝浩ひろみ美さん(59)と石いしい井詩うたや也さん(20)は、このボランティアに参加していて、活動を通してココニールを知ったという。最初に訪れたとき、お二人はボランティア団体の一員という意識があって肩の力がなかなか抜けなかったそう。矢野さんは「二人ともずっと立ちっぱなしで、気が張ってたよ。もっとリラックスしていい空間なのに」とその時のようすを思い出してくすっと笑った。三枝さんは、5月にはじめて訪れてから何度もココニールに来ている。「こんな場所があったのって感じで来たよ。居心地がいい。心地いいからココニールっていうのかな」と話す。本当の由来とは違っているが、「心地いい」と「ココニール」が結びつくことに違和感はない。楽しそうな話し声と自由な雰囲気は、コーヒーを提供するだけでなく、会話を楽しむことへと三枝さんを導いてくれたのだろう。「顔見知りが増えていって、おしゃべりすることも増えたよ」と言う三枝さんの顔には、柔らかな笑みが浮かんでいた。石井さんは、ココニールに来たことで人見知りが落ち着いたそうだ。「活動をしていなかったらこの場に来られなかったし、来られないと変われなかった」と話す。また、コロナ禍で誰にも会えない日々を経験したからこそ、顔を合わせることの大切さを実感してい左:お昼どきになると、手作りの味を求めてたくさんの人が来る右上:寺岡さん。いつも笑顔で出迎えてくれる 右下:大人気の車くるまふ麩の唐揚げが入ったお弁当(2023年10月4日)
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