116号マスターHP用
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13このページの写真はすべて2024年2月3日に撮影しました三さん町ちょう商店街へ午後、三町商店街のお店をまわる宗泰さんたちに同行する。家やお店が立ち並ぶなかを鬼が歩いている光景は、夢のなかに出てきそうなくらい奇妙なものだった。宗泰さんたちが最初に訪れたのは、「すがや製菓店」だ。店内に入ると、お店のみなさんがニコニコしながら宗泰さんたちを迎えた。宗泰さんはお店のかたと言葉を交わしながら、商売繁盛祈願のお札を渡す。そのあと、鬼たちによる舞が披露された。舞は毎年披露していて、お店のかたに見せるときは商売繁盛を、それ以外の場合は厄病退散を祈願するものだという。次のお店へ移動するあいだに、黒鬼役の鷲わし津づ義ぎしょう昭さん(37)にお話をうかがった。鷲津さんは北ほく杜と市にある浄じょうこじ居寺の副住職だ。宗泰さんの親戚で、何度か鬼の役を任されている。今年の節分のようすを尋ねると、「土曜日で人通りが多いからか、いろいろなリアクションがもらえて面白いです」とおっしゃった。たしかに私が同行していたときも、車に乗っている人たちが目を真ん丸にして見つめていたり、車を止めて写真を撮ったりしていた。そのあとも三町商店街のお店を訪れ、商売繁盛の祈願を行った。舞を動画におさめる人、豆まきをする人、「またきてね」と来年を楽しみにする人、鬼の衣装を「よくできているね」とほめる人。どの場所でも、楽しそうに鬼を迎える人たちと出会うことができた。三町商店街のお店をまわり終わったあと、宗泰さんは「トラブルが起こることなく、まわることができました」と、顔をほころばせた。宗泰さんの安心したような笑顔を見ると、私も嬉しくなった。短い時間でも一緒にまちを歩いたことで、宗泰さんたちの仲間になれ②青鬼にかかえられて  号泣する子ども ①祈祷を待つ人たち③子どもたちに混ざって  手に入れた福豆中村薬局にて、豆を投げられる鬼たちたように感じたからだろうか。ひと仕事やり切ったような、満たされた気持ちになった。宗泰さんからお話を聞き、節分会は災厄をはらい、平和を祈るための行事だと知った。そしてじっさいに節分会にふれてみると、豆まきや鬼の舞を楽しむ人たちの笑顔であふれていた。節分会で災いをはらうためには、この笑顔も欠かすことができないのだ。桂林寺の節分会は、これからもまちの人たちを笑顔にして、福を届けてくれるだろう。①②③商店街へ

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