116号マスターHP用
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no.116 Mar. 202420横山呉ごふくてん服店突然の訪問に応じてくださった横山辰たつお雄さん(75)によると、あの写真の建物は「横山呉服店」という店だと分かった。一階が小間物屋、二階が呉服屋だった。当時の店主は、辰雄さんのお母様だったそうだ。これは大正初期からあった店を昭和3年に立て替えた建物だという。完成時の記念写真を見せてもらう。店の屋上に20名の関係者が並んでいる。左に写るのはかつての市役所だと教えてもらい、まちのようすの移り変わりに驚いた。横山呉服店が創業130年近い歴史に幕を閉じたあと、建物が解体されて現在の空き地になったのだという。辰雄さんは大学卒業後に働いていたデパートの外商(外回り営業のこと)部で培った経験と人脈で、昭和50年10月に「インテリアハウスよこやま」を始めたそうだ。今から10年ほど前に店を閉めるまでは絨じゅうたん毯や家具などを売っていた。店ができた当初は周りに家具を売る店はなかったため、もの珍しかったという。「横山呉服店」を継ぐ形で「インテリアハウスよこやま」ができたと思っていたが、全く別の店だということを知った。かつて商品だった物は今辰雄さんの家にお邪魔させていただくと、入ってすぐの玄関に数十個のお皿や湯呑が置いてあった。これらは店に商品として置かれていたものだという。「これは呉服店に置いてたやつじゃないかな」と黒い和傘を見せてくださった。小ぶりだが持ち手がしっかりしている。和服に合わせて使ってみたい。同じく店に並んでいたと思われる、茶色の編みかばんも見せてもらう。開いてみると、古写真を見ていると、自分が見たことのある空地に、かつて建物があったことに気づいた。その建物について知りたくなり、写真に写る「よこやま」の字を手掛かりに「ヨコヤマさん」を探して谷やむら村を歩く。すると、「インテリアハウスよこやま」と表札に書かれた家を見つけた。あの写真に写っていた建物の持ち主かもしれないと戸をたたいた。横山家のから大蔵中蔵旧インテリアハウスよこやま国道139号線横山呉服店跡地前蔵横山呉服店の建物が完成したさいの記念写真。左の白い建物が市役所(写真提供=横山辰雄さん)

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