116号マスターHP用
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21たくさんの子どもたちが遊んでいるかわいらしい絵が描かれていた。外側の落ち着いた見た目とは反対に、にぎやかな柄に少し笑ってしまった。時間が経って、絵が描かれた布は色あせているが、それにレトロな面影を感じ、ときめいた。「今度また、うちに来たときにあげるよ」と辰雄さんがおっしゃった。歴史ある物だろうに、頂いてよいのだろうかと思いつつ、なかにおにぎりとお茶をいれてピクニックに行けたらなとも思ってしまった。家にある小間物はほんの一部で、蔵にはもっとたくさんの物が残っているという。蔵のなかある日、自転車で谷村を走っていると、蔵を掃除していた辰雄さんに偶然お会いした。再び突然の訪問に応じてくださった辰雄さんは、せっかくだからと蔵のなかを案内してくれた。外壁の格子模様が特徴的な大蔵は、二階建ての木造で、一階の天井にはまっすぐで太い梁が何本もあった。いくつも重ねて置かれた木箱の側面に、筆で右から左に「横山」と書かれている。文字の間に書かれているのは、屋号だという。隣の側面に「椀」と書かno.2 輪島塗の茶碗黒い漆塗りの茶碗や赤の漆の平皿があった。裏には金で違い鷹の羽が刻されているれている通り、白い布にくるまれたお椀が10個ずつ、すっきりと収まっていた。長机には漆塗りのお椀がずらっと並んでいた。この数からして、家族の食事用ではなく、人にふるまう食事のさいに使っていたのではないかと辰雄さんは言う。「これがね、輪島塗なんだよね。あと、ほら」とお椀の後ろに刻された金色の紋を指さす。違い鷹の羽だ。自分の家紋と同じだったので、思わずお椀から顔を上げて、「横山家の家紋ですか。うちと同じです」と伝えた。「そうなの。あなたとはなにかと縁があるね」と笑いながら、今度は赤い漆の器を持ってきた。これにも家紋が刻されている。お椀だけで、この蔵に数百個はありそうだ。食器の数もだが、状態がよいことにさらに驚いた。蔵のなかは気温や湿度がある程度一定に保たれているため、米や酒を保存するのに向いている。食器も同じように、保存する環境で物持ちが違ってくるのだろうか。それとも、漆塗りのものは長持ちするのだろうか。漆塗りの他に、陶器の醤油皿や淡い青色のグラスなどがある。食器棚のなかにも上にも種類ごとに並べられていた。蔵に残っていたものno.1 編みかばん表面が籐とうで編まれたかばん。なかには絵が描かれた布が貼られている
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