116号マスターHP用
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no.116 Mar. 202432自分の身体で感じるということ種明さんと公子さんは、カフェ禾菜の活動のなかで、「身体感覚」を大切にしているという。「自分の五感をじっさいに使っていくのがポイント」と種明さんは話す。とくに手作りのよさを追い求めているという。「手の感じが残る料理や作品と出会ってほしいんです」と公子さんが自分の作品に目をやりながら語った。たしかにこのカフェには手作りのものがあふれている。手作りの温かみを感じられる場所だ。「便利なものが必ずしも全部いいものとは限らない。いろんなことを自分で体験してほしいんだよね」と種明さん。そうした理由から、SNSを使った広報などをしていないという。「このカフェも、看板や人づてで広まったんだよ。そういうつながりを大切にしたいね」と公子さんが続けて語った。お二人が人とのつながりを大切にしていることが伝わってくる。カフェ禾菜では、月に1、2回「カリンバ」というアフリカの楽器の教室が開かれている。もともと音楽が好きだった種明さんが、アフリカ音楽に関心を持ったのがきっかけだ。アフリカの人びとが、身近で簡素なものを使って音を奏でるようすに惹かれたのだという。この教室で使うカリンバも、簡素なつくりだ。「いろんな音楽をすぐ聴ける時代だけど、なかなかアフリカの音楽に触れる機会はないよね」と種明さんが語る。口伝えでメンバーが増え、今は6人ほどでカリンバを奏でている。「みんなでやるといっそう楽しい」と公子さんがにっこり笑う。*  *  *種明さんと公子さんは、自分たちの手でものを作り出すことにこだわっている。「自分たカリンバを演奏する種明さん。店内にやさしい音色が響く種明さんと公子さんが作った陶器や織物、版画が並ぶこのページの写真はすべて2024年2月12日に撮影しました。ちで作るからこそ、ものに深みが生まれるし愛着が湧く」と公子さんが教えてくれた。なんでも簡単に手に入る世の中だからこそ、お二人の言葉が胸に響く。私はそういった環境に甘え、自分の身体を目いっぱい使うことの楽しさとやりがいを忘れていた。カフェ禾菜で、お二人の想いが込められた作品に触れ、私も自分の手でものを生み出してみたくなった。「ギャラリーカフェ禾菜」営業日時月曜日午前11時〜午後5時電話070ー4488ー0804

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