116号マスターHP用
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no.116 Mar. 202436接客を通してカフェには、幅広い年齢層の人が訪れる。山梨県内だけでなく、静岡や八はちおうじ王子、埼玉の所ところざわ沢から来てくださるお客さんもいる。太田さんと外の店番をしていると、近所のかたに「頑張って」と声を掛けていただいた。仕事を通して、励ましをいただくことも多いという。地域のかたやお客さんからの嬉しい言葉がカフェでの活動を支えているようだ。店員さんがお客さんにコーヒーを準備している時間は、店内にほろ苦い香りがただよっていて気持ちがよい。じっさいに、太田さんから教わりコーヒーを入れてみる。細かな手順が多く、思ったように入れられない。店員さんの手ぎわの良さがよく分かる。太田さんは、何度も練習を重ねてやっとできるようになったという。接客は、もちろん大変なことも多い。しかし、店員さんたちは、お客さんとコミュニケーションをとっているときが仕事のなかでもとくに楽しくて好きな時間だという。人と人とのつながりが生まれることが仕事をする原動力となっているのだろう。人柄に惹かれるカフェに行くたびに、店員のみなさんは変わらない元気なあいさつとニコニコした笑顔で迎えてくださる。活動をしていくと、すぐにみなさんとの距離が縮まった。今日の給食のメニューを教えに来てくれたり、自分で作ったお弁当を誇らしげに見せてくれたり、好きな食べ物の話もしたりした。それから、自分の苦手なことを少しずつ話してくださった。あるとき、太田さんと話しながら、お持ち帰りのピザに付けるメッセージカードの色を塗っていると、小山さんも会話に加わった。二人がたくさんおしゃべりしてくださるのが楽しくて、話に花が咲く。自然と仲の良い関係になれたようで心が満たされる。みなさんとお話をしているとなんだか心がぽかぽかしてくる。カフェの雰囲気と心のあたたまりも合わさり、リラックスできる。活動させていただくたびに思い出が増えていき、さらにカフェに行くのが楽しみになった。はなちゃんカフェで過ごす時間が心とからだを癒すのは、店員さんたちのあたたかい人柄が接客に表れているからだろう。店員として一緒に活動をさせていただくことで、カフェでの仕事についてだけでなく、店員さん一人ひとりの魅力を知ることができた。また、はなちゃんカフェは、店員さんたちのすてきな笑顔から、出会いが生まれる場でもある。私の身近なところで、人とのかかわりを楽しみ、大切にしながら働いている人がいることを気づかせてくれた。これからも、はなちゃんカフェとそこで働く店員のみなさんは、人との輪を広げていくのだろう。根本菜桜(比較文化学科1年)=文・写真店員のみなさん。左から、小山さん、小野田さん、藤村さん、太田さん、滝口さん(2024年1月23日)
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