117号HP用
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11上大幡の八房の梅5月上旬、都留市駅からバスに乗り、梅を管理している安田さんのお宅に向かう。よく晴れていて、バスの窓からは、太陽に照らされた新緑がキラキラと輝いているのが見える。20分ほどバスに揺られると、四方を山に囲まれた大幡地区に到着した。バスを降りた瞬間、緑の多さに圧倒される。大幡地区は、都留市のなかでも自然との距離が近い地域のように感じる。少し歩くと、ひときわ目立つ大きな家を見つけた。ここが安田さんのお宅だ。「いい時期に来たね」と言いながら安田さんが迎えてくれた。八房の梅は、自宅の裏庭にあるという。さっそく、案内していただくことにした。ひっそりとした裏庭では、安田さんの自宅に寄り添うようにして梅の木が植えてある。一緒に木を眺めながら、安田さんが八房の梅について説明してくれた。「八房の梅には、めしべが8つとおしべがひとつあるんだ。咲いているときは、普通の梅と同じように見えるけど、実ができる時期になると、他の梅とは違う特別さが出てくるんだよ」。小さな梅の実は、密集していてかわいらしい。安田さんは、地面からたくましく生える梅の幹を「すごい丈夫なんだ」と自慢げに見せてくれた。なんと、この八房の梅は樹齢が約300年だという。10年ほど前に、大雪で木が根本から折れてしまったそう。しかし、現在でもたくさん実をつけ、元気に育っている。折れても梅を支え続けている頑丈な幹のおかげなのだろう。長い年月のあいだ、変わらずに花を咲かせ、実をつけている梅のすがたは、誇りに満ちているようでかっこいい。実がたくさんなっている時期に見ることができたのは幸運だった。都留市役所に設置されているマンホールの蓋。市の花に梅が指定されている(2024年3月27日)梅の幹。毎年、積雪の重みに耐えながら木を支えてきた(2024年5月3日)******************受け継がれていくもの都留市には、市の天然記念物である﹁上かみおおはた大幡の八やつふさ房の梅﹂がある。八房の梅は、ひとつの花が咲き終わると8つの実がなる不思議な植物だ。そして、この梅の木は個人のお宅の庭にあり、安やすだしちろう田七朗さん(82)が管理をしている。天然記念物が身近にある暮らしとは、どのようなものなのだろう。八房の梅を見に、大幡地区へ向かうことにした。
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