117号HP用
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16no.117 Jul. 2024花屋さんの準備母の日に向けて花を準備するようすを少しだけ見せていただいた。陽子さんの作業台はレジの後ろだ。6段の棚に入りきらないくらい、たくさんのリボンが入っている。色や素材がばらばらで、リボンを見るだけでもわくわくする。作業台の上には、テープやはさみ、包装紙、ホッチキス、そしてたくさんの注文票がある。花束を作るようすを見せていただく。まずは、花の種類ごとに分けられているバケツから花を集め、輪ゴムでまとめる。白い半透明の包装紙をはさみですーっと切り、あっという間に花束を包んでいく。そして、うすい黄緑色の包装紙でもう一度包む。正面から見栄えを確認し、微調整を繰り返す。包装紙の広がり方や細かいところまでこだわっているのだ。指にはいくつも絆創膏が見えた。接客をしているときのにこやかな表情とは違う、陽子さんの真剣な眼差しに心が惹かれる。花束が完成したようだ。「よし」というように陽子さんの表情が少しほころぶ。私も一緒にほっと息を吐き出した。時計を見ると、花束を作り出してから、あっという間に3分が経っていた。息をすることを忘れてしまいそうになるほど、集中して見ていたようだ。都留の花屋さんからやっと、母へ贈るプレゼントを決めた。優しいピンク色のドライフラワーと、水色のガーゼハンカチだ。いつも月曜日に、「今週も頑張ろうね」と連絡をくれる優しい母だ。母のイメージにぴったりな優しい色合いのドライフラワーにのって、感謝の気持ちが届けばいいな、と願う。私が都留の花屋さんからプレゼントを贈りたいと思う理由は、このま陽子さんが花束をつくるようすちで暮らし、感じてきた気持ちも込められるからだと気づいた。都留の花屋さんは、花を贈ることのあたたかさを教えてくれた。***花は気持ちを形にしてくれるものだ。「ありがとう」、「おめでとう」、「これからもよろしくね」、「大好きだよ」。HANASAKA JISANの花や雑貨は、渡す人が気持ちをきちんと言葉にする勇気をくれる。それは、花屋さんが一つひとつの花や雑貨に真心をこめて、向き合っているすがたを知ることができたからだ。私も想いを伝えるときは、恥ずかしがらず声に出して伝えてみよう。カーネーションが、背中を押すように優しく笑ってくれた気がした。カーネーションの花言葉は、色によって異なるそうだこのページの写真はすべて2024年5月10日に撮影しました。
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