117号HP用
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242424no.117 Jul. 2024no.117 Jul. 2024no.117 Jul. 2024no.117 Jul. 2024【参考書籍】『山溪カラー図鑑 日本の樹木』林弥栄編 山と溪谷社 1985年 『小学館の図鑑・NEO 花』 小学館 2014年4号館うらのアジサイのつぼみ(2024年5月23日)いるのか。アジサイにとっては飾りなのだとわかっていても、その繊細さに惹きつけられる。花の特徴を知ってから、ふたたび楽山公園を歩いてみる。舗装された白い道一面に、赤茶色をしたサクラのがく44が落ちている。アジサイのようすは、一週間ほど前とあまり変わらない。枝のところどころに葉を出しているだけだ。アジサイの葉の中心にサクラのがく44がちょこんと乗っていると、花が咲いているように見える。サクラががく44を落としているいっぽうで、その下のアジサイは、がく44が変化した花びらをこれからつける。もともと同じ器官だったのに、見た目は大きく違うのがおもしろい。アジサイの花が咲くのを早く見てみたい。少しずつ生長するようすを見ていると、気持ちがはやる。けれど、アジサイにとっては大事な花の準備期間だ。気長に開花を待つのもわくわくする。花開くまで5月下旬、授業終わりに、近くの植え込みにあるアジサイを、斜面の上からなにげなくのぞきこむ。「あ、つぼみができている」。上から見たことではじめて気がついた。私より背丈が高いアジサイも多いから、ようやく現れたつぼみを見逃していたのだ。楽山公園のアジサイはどうだろうか。そのまま、いそいそと向かう。以前にも増して葉が勢いよく出ている。まわりの木や草花もぐっと緑が深くなったようだ。先に出ていた葉はさらに大きくなり、まだ開く前の葉は丸まって待機している。ごく小さな丸いつぼみは、数枚の葉に大切そうに包まれている。薄黄緑色のつぼみがぎゅっと集まっていて、小さなカリフラワーのようだ。道一面に落ちていたサクラのがく44はなくなっている。いよいよ春から梅雨へ、サクラからアジサイへ、季節を代表する花は主役交代だ。去年咲いた花はまだ枝先に残っているけれど、目立たない。葉と新たなつぼみの勢いに押され気味だ。いきいきと生長していく植物のすがたは、雨の日が増えてきて沈みがちな気分を和らげてくれる。* * *6月初旬、都留のアジサイはまだ満開ではない。今はほとんど緑一色の場所が、青色やピンク色に色づく光景を思い浮かべると、より開花が待ち遠しくなる。毎日のように植物のそばを通っても、花が咲いていないときにはつい忘れがちで、目を向けなくなってしまう。花が咲いたとたんにその香りにはっとしたり、色や形に目を奪われたりするのだ。それだけ花が美しく、人を惹きつけるということでもあるだろう。花が咲く前から、アジサイの変化を見つめてみた。去年咲いた花は儚はかなげで、生え始めた葉はみずみずしい。ほころぶ前のつぼみは愛らしい。どんなすがたでも、咲いた花の華やかさに負けない美しさがあった。梅雨は洗濯物が乾かないし、雨のなかを歩けばお気に入りの靴だって濡れてしまう。それでも、アジサイが色づくのはこの季節だ。やっと色づいたアジサイを傘越しに眺めれば、心はほんのり晴れやかになる。
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