117号HP用
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26no.117 Jul. 2024花と雑貨に囲まれたカウンターで作業する三澤さん。店の花は直感で仕入れる(2024年6月1日)やお菓子の置かれたショーケースまで、花屋にあるのが不思議なものばかりだ。それなのに、ちぐはぐには見えない。置かれているものすべてが、売り物というより、訪れた人の心を落ち着かせるためにあるようだ。現在のリエールになるまで三澤さんは、もともと雑誌などに使われる花に関わる仕事をしたいと思い、東京の花屋で修行していた。そのうち、自分が好きな花を仕入れたいという気持ちがめばえる。それに、お客さんの喜ぶ顔を近くで見ることのできる仕事にやりがいを感じた。そして、実家の土地に花屋を開くことにした。三澤さんはお店を始める前から、自分の理想とする花屋のかたちを考えていたという。その想いは、「リエール」という店名にも込められている。店名を考えているとき、知り合いに「フランス語の先生がいるから相談してみたら」と言われたそうだ。なんとなくフランス語がいいと思っていたので、いくつか候補をもって相談に行く。すると、その先生は趣味でタロットをやっていて、タロットで店名を考えることになったのだという。引いたカードに描かれていたのは、絡まったつた44の前に立つ女性。そこで三澤さんが、フランス語でつた44をなんというのか聞いたところ、「lリエールierre」と言われた。そのとき、ピンと来たのだという。「つた44って丈夫で強そうだし、いろんなところに伸びて絡まってて、(今になってみれば)うちもいろんなことがあったからぴったりだと思います」と三澤さんは笑って話す。若いころは、なんでもやってみようと模索していた三澤さん。30代のころ、自分のやりたいことがわからなくなったのだという。しかし50代になると、そのなかから選択ができるようになり、お客さんが求めているものと自分のやりたいことの中間を目指せるようになった。私は、花屋に求められているものは、いつの時代も、お客さんの需要にあった花を提供することだと思っていた。驚いて「求められることが変わっていくのですか」と聞く。すると、今の時代は個性が大事にされて、花屋でも店主のおまかせで注文する人よりも、自分の好きな花を選ぶ人が増えているのだと話してくれた。新しい考えかたは、リエールならどうするかを見直して取り入れるという。店にまかせるという考えかたが主流だった時代に、リエールではすでに「お客さん自身が求めるものを」というありかたを大切にしていた。三澤さんは、「昔は人の目を気にしていたこともあったけど、自分の世界を追求して、それに興味がある人がいてくれたらお互いにとっていいことだと思う。それが一番自然だと思っている」と話す。三澤さんはリエールのありかたを長いあいだ模索し続けてきた。そんななか、やりたいことが叶い始めたのはつい最近だという。
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