117号HP用
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33写真はすべて2024年5月12日に撮影しました。お弁当を出すこともあるが、この日は定食だった。色とりどりの食器を使うこともポイントで、お客さんからも注目を浴びていたらは、比呂子さんの活動内容が少しずつ変わっていった。お米づくりや農作業をしているうちに、育った食材で料理をつくって提供する機会が増えていったのだ。「まさか自分がお弁当屋さんになるとは、って感じだったから」と比呂子さんは本当に驚いたような表情で話してくださった。「でも、『~FU・RE・RU~』っていうのは自分のなかにちゃんとあるんだよね。食べることを通してふれることが『円・つぶら』かな」。都留での暮らしは、人にふれる新しい方法を比呂子さんに教えてくれたのだ。「つぶら食堂」での食事比呂子さんは自宅で「つぶら食堂」というランチもやっている。比呂子さんのお弁当が大好きな私は、「ランチも気になる」と思って参加してみることにした。お昼ごろ、比呂子さんのお家に着くとリビングルームで話す声が聞こえる。すでに何人かお客さんが来ているようだ。「こんにちは」と挨拶をして部屋をのぞくと、はじめて会ったにもかかわらず「隣どうぞ、座布団使ってね」「大学生?私も今日はじめて来たの」とおしゃべりの輪に混ぜてくれた。「みなさん、お知り合いですか」と私が聞くと、そうではないという。お友だちのように楽しげに過ごしていたからその返答に驚いた。キッチンからいい匂いがする。「できたよお」と比呂子さんがみんなに声をかけた。「今日のお料理は、大豆とキドニービーンズのチリコンカン、長芋キュウリの梅和え、紅生姜ポテト。車くるまふ麩の唐揚げと、はじめてつくった生春巻きです。そして、お味噌汁と塩おにぎりとごまおにぎりです」。お盆には、きれいな食器に盛り付けられた料理が並んでいる。「いただきます」。リビングの大きなテーブルを囲んで「おいしいね」と言葉を交わす。隣の和室では、ひとりで食事を楽しめるようになっている。お客さん一人ひとりに合った食事の時間を過ごせるのは「つぶら食堂」の魅力だ。ランチのあとは、「あおぞら珈琲」のコーヒーと比呂子さんの妹さんがつくったパウンドケーキを食べて、話をしたり、ハンモックに揺られたりして自由に過ごした。「つぶら食堂」には、おいしい料理があるだけではない。食べること、出会うこと、のんびりした時間を楽しめる場所だ。「あおぞら珈琲」は、お友達の南なみこ美子さんの活動だ。普段は、河口湖で自家焙煎のコーヒー豆を販売したり、コーヒーを提供している(比呂子さん=写真提供)

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