117号HP用
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34no.117 Jul. 2024田植えの日を一緒に楽しんだ小学生たち。自然が大好きで、比呂子さんの家に遊びに来ることもあるこだわりのお米「最近は、おにぎりがおいしかったって言ってもらえることが増えてね」と比呂子さんが話す。「どんなお米を使っているのですか」と質問すると、「イセヒカリ」というお米を使っていると教えてくださった。イセヒカリとは、伊勢神宮のコシヒカリが突然変異したものといわれている。1989年、伊勢湾台風のときに2株だけ残った貴重な稲というエピソードがあったり、奉納米とされていたりと縁起の良いお米だ。倒れにくいというのも特徴で、都留でも育てている農家さんが何人かいるそう。「毎年、妹家族とか知り合いと一緒に田植えをするの。興味があったらおいで」と比呂子さんが今年の田植えに誘ってくれた。アットホームで楽しいよ、と言う比呂子さんの笑顔につられて「やりたいです」と返事をする。田植えをするのは小学生ぶりだ。田植え当日、よく晴れて気持ちのいい青空が広がる。集まったのは、比呂子さんの妹さん家族とお友だちの家族で、小学生が4人と大人7人、大学生が1人だ。「僕は2歳から田植えやってる」と小学6年生の男の子が教えてくれた。「すごいね、ベテランだね」。きっとここにいる小学生は私よりも田植えにくわしいだろうな。「この子は将来お米農家になりたいって言ってるんです」ともうひとりの男の子のお母さんが話す。男の子が田んぼに足を入れたくてうずうずしているのが伝わって、一緒に頑張ろうと気合いが入った。都留でのお米づくり田んぼに一列に並んで、目印を頼りに苗を植えていく。田んぼの泥のなかではうまく歩くことができないので、慎重に進む。午前中で半分ほどの作業が終わり、お昼休憩だ。みんなの緊張がほぐれていくのが分かった。「農作業って、ひとりじゃできないよね」と比呂子さんがつぶやいた。「そうですね」と私が返すと、「でも、都留に来たばっかりのときは、全部ひとりでやるものだと思ってたんだよね」。比呂子さんの活動にはいつでも人がいて、それを楽しんでいるように見えたからその言葉は意外だった。比呂子さんの気持ちはどうして変化したのだろうか。比呂子さんは「都留に来てからが火おこしを体験できる、だるまストーブ。秋には、これを使ってお米を炊くそうだ

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