117号HP用
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37暮らしているから、この名前に親しみを感じ、自然に覚えられたのかもしれない。ハーブのための環境づくり「畑のほうも見てみますか」と畑を案内してくださった。畑には、ハーブ用に手作りした花壇が4つと、ハーブを地植えしている場所がある。一般的なハーブの栽培方法は鉢を使って育てるが、地植えで育てたほうがより大きく育つという。地植えをしているハーブを踏まないようにゆっくり歩いた。真由美さんが手作りしている花壇は「しがらみ花壇」と呼ばれ、竹や木をからませて作る。「竹は知り合いから、木は隣の家のおばちゃんちの木を庭師さんが剪せんてい定したものです。伐採していらなくなったと聞いたので、この木も資材としてもらっているんです」。資材を身近な場所から集めていることを教えてくださった。真由美さんと人とのつながりを感じる。他にも、ハーブが枯れた後の茎も使っているそうだ。捨ててしまう部分を活かすことで、新しい命につなげている。花壇の作りかたについて詳しく尋ねる。ひとつの花壇を作るために、3人の大人の力で半日かかったそうだ。溝を掘って杭くいを打った後、木を組み上げる。そして、その内側に炭と落ち葉と土をミルフィーユ状にして積み上げたら完成だ。手の込んだ花壇はとても頑丈そうだ。しかし、花壇ができあがった後も崩れてしまったり、木が朽ちてきてしまったりすることがある。そのため、補正をすることが欠かせない。「(土を)ふわふわさせておかないと水はけが悪くなってしまうし、根の硬さもハーブによって違うんです」。ハーブは毎日の管理が欠かせない植物なのだ。小さな種からゴールデンウィークの最終日、ふたたび真由美さんのもとを訪れる。工房に着くと、作業服を身にまとった真由美さんがトゥルシーの種を植えるための準備をしていた。トゥルシーの種は、遅霜が終わるゴールデンウィーク明けがまきどきだ。そして、7月から8月になると紫色の花を咲かせ、私たちに甘い香りを届けてくれる。今回はトゥルシーの花を見たり、匂いを嗅ぐことはできない。けれど、あと二ヶ月を過ぎたら花が咲くのかもしれない。そう思うとわくわくして待ちきれなくなった。左:フェンネル。真由美さんの腰の高さまで伸びている右上:アップルミント。香りを楽しむハーブだ。軽く揉むと、リンゴの       ように甘く、ミントのすっきりした香りがする右下:コモンマロウ。効能もあるが、真由美さんは色も楽しんでいる。      お湯を入れると鮮やかな青色になる      上の写真はすべて2024年5月6日に撮影しました。しがらみ花壇。花壇作りに挑戦したいかたに向けて講座も開いている(2024年4月21日)37

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