117号HP用
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38no.117 Jul. 2024 このページの写真はすべて2024年5月6日に撮影しました。38上:トゥルシーの種はとても小さく、種をまくと風で飛 んだり、雨で流れてしまったりすることがある。そ のため房ごとまいている下:乾燥したトゥルシー右:花壇や種まきで使う土に 混ぜている、粉状の炭左:ブロック状の炭。しがら み花壇に使われている畑のほうへ行くと、種まきで使う連結ポットが4つ並べられている。すでに、3つのポットにはオクラと、つるなしインゲンの種が植えられていた。真由美さんが何かが入った茶色の紙袋を持ってきてくださった。「ここに乾燥したトゥルシーが入っていて」。カサっと音を立てて、真由美さんがトゥルシーを取り出す。植物が乾燥すると簡単に粉々になってしまいそうだが、トゥルシーは形が崩れることなく残っている。花の房は連なっていて、ネックレスのように見えた。親指と人差し指の腹を使って花が咲く向きに茎を滑らすと、房は簡単に取れる。すーっと滑るように取れて、見ていて気持ちがいい。一本のトゥルシーから取れる房は、手のひらにちょこっと山ができるほどだ。取れた房を指ですりつぶすと、ゴマよりも小さくて黒い種がポロポロとこぼれる。こんなに小さな種から紫色の花が咲くのかと目が丸くなる。真由美さんの畑では、土に炭を混ぜたものを使っている。この土をポットのなかに入れ、上から房をまいていく。もう一度、上からふんわりと土をかけたら種まきの終わりだ。これから夏に入って陽の光をいっぱい浴びるだろう。元気に育ってほしいなと思いながら、工房を後にした。***真由美さんと一緒にお話をしていくなかで、「何をしようか悩む前に、まずは自分が楽しもう」という言葉が心に残った。日々、正解が分からないなかで自分なりに工夫を凝らして、ハーブたちと向き合っている真由美さんだからこそ出てきた言葉なのだろう。私は分からないことがあるとすぐに、「自分にはどうしようもできない」と決めつけてしまう癖がある。そんな私でも、まずは楽しむ気持ちを大切にすれば諦めずに続けていくことができるのだろうか。苦手なあのことに挑戦してみようかな、と考えが膨らんでいく。私も真由美さんのように、こだわりを持って何かに打ち込んでみたい。「まーさんちの庭」に訪れて、何事も楽しむ気持ちを持って取り組むことの大切さを教わった。
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