117号HP用
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4848no.117 Jul. 2024 山本幸平(学校教育学科1年)=文大迫力の御ごしんぼく神木ひとり暮らしを始めて、散歩や買いものなどで歩く機会が増えた。歩くたびに、都留は緑があふれていると感じる。ある日、川かわだな棚にある勝かつやまはちまん山八幡神社の大きな御神木と出会った。幹は両手を広げても測りきれないほど太く、見上げてもてっぺんは見えない。今までに見た木とは比べものにならないような迫力に、心をつかまれた。ふたたび神社を訪れると、参拝に来ていた市民のかたが「何年も前、この木に雷が落ちたことがあるのよ」と教えてくれた。たしかに、一本の太い枝の切り口が焦げている。幹にそっと手を当てると、手で触れた幹の表面がボロボロと崩れてきた。これも、雷が落ちた影響なのだろうか。両手で測ると、幹周りは6メートルを超えていた(2024年6月17日)背伸びをすると若葉に手が届いた。明るい緑色をしていてやわらかい。太陽の光が、みずみずしさを引き立てている。そんな若葉のすがたは、新生活が始まって悩みばかり抱く私に元気をくれた。はじめて御神木と出会ったとき、その大きさに心惹かれた。足を運ぶうちに、雷が落ちても倒れることなく、今でも若葉を茂らせていることを知った。辛いことがあったとき、あの元気な若葉を思い出そう。そして、勇気をもらって前へ進もう。これからの都留での成長を、御神木に見守っていてほしい。no.117 Jul. 2024 山口夏美(学校教育学科1年)=文・写真ツバメのすがた家から大学に行くまでに何羽ものツバメとすれ違う。目で追うと、真っ直ぐに飛んでいないことに気づく。くるりと自由に空を飛ぶツバメのすがたを羨ましいと感じ、心惹かれた。5月8日、自宅の駐車場をツバメがせわしなく出入りしていた。口に枯れ草をくわえているため、巣作りをしているのだろう。朝が苦手な私は、憂うつな気持ちで自宅を出たが、ツバメの一生懸命なすがたを見て「今日の授業も頑張ろう」と思えた。その日から、ツバメを見て大学に向かうことが日課になった。5月14日、巣を見に行くと、重さに耐えられなかったのか、地面に落ちてしまっていた。この場所でツバメを見ることができないと思うと、とたんに悲しくなる。巣を失ったツバメはこれからどこで暮らしていくのだろうかと心配になった。ツバメを観察し続けていなければ、巣が落ちて心が痛むこともなかっただろう。ツバメと私の距離が少し近づいたからこそ、ツバメの気持ちに寄り添えたのかもしれない。はじめはツバメが自由に飛ぶようすに心惹かれた。いつのまにか、小さな体で懸命に巣作りするすがたに、元気づけられるようになった。今日は何羽のツバメとすれ違うだろう。これからもツバメをそっと見守り続けたい。エサを取りに向かうため羽を広げるツバメ。巣ではヒナが待っているのだろうか(2024年6月7日)(北原日々希=写真提供)

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