117号HP用
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8no.117 Jul. 2024ミツマタに会いにいく3月中旬、首をなでる風は少しひんやりしているが、歩いていても寒さはそこまで気にならない。日なたを歩いていると、ぽかぽかと暖かかった。ミツマタ群生地へは、本学の裏にあるいくつかの登山道から行くことができる。私は、バイオトイレが目印になって分かりやすい、楽らくやま山球場登山口から登ることにした。トイレ付近の看板にしたがって山道に入ってみる。木が日差しを遮っているため涼しい。歩くのにちょうどよい気温だ。道なりにずっと歩くと、視界の右上に白っぽいものが映る。目線を移すと、山の斜面に細い枝の低木がたくさん生えていた。ミツマタかもしれない、と期待しながら手前に生えている木に近づく。よく見てみると、木の先に籾もみのような形のつぼみが集まっている。外側は薄い黄緑色をしているが、つぼみの内側は黄色だ。つぼみから少し離れて、木の全体を観察してみる。細い枝は3つに枝分かれしていて、先端にはつぼみが2つほどついている。私が知っているミツマタの花の特徴にぴったり当てはまる。登ることができそうな場所を探して道の先へ進むと、「ミツマタ群生地」と書かれた看板を見つける。ようやくミツマタに会えたことがうれしくて、思わずガッツポーズをした。花が開きはじめたものと、まだつぼみのものとを比べてみよう。じっと近くのミツマタを見てみる。すると、開花が進んでいるもののほうが、花が上を向いていることが分かった。すべての花が開くと、よく図鑑に載っている鞠まりのような形の黄色い花になるのだろうか。これからどんどんミツマタが咲いていくようすを想像すると、満開になるのが楽しみになる。図鑑で見た花のすがたとは異なっており、すぐにミツマタのつぼみだと気づくことができなかった(2024年3月19日)ミツマタ群生地Pうぐいすホール楽山球場楽山球場登山口都留文科大学0m100m200m案内者の山うぐいすホールの裏に、ミツマタの群生地があるのをマップ上で見つけた。「ミツマタ」というはじめて聞く名前に興味を惹かれる。調べてみると、3月から4月にかけて黄色い花が咲く落葉低木植物だそう。枝が3本に分かれているという特徴から、その名前がついた。枝は和紙の原料にもなるようだ。開花したミツマタをじっさいに見てみたくなった私は、群生地を目指して山に足を踏み入れる。
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