118号hp用 圧縮
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19毎日、新聞を配達していても、朝刊を配達するのは早朝で、なかなかお客さんとコミュニケーションをとる機会はないという。小宮さんに、創刊の理由についてさらに聞いてみる。「新聞を購読しているかたとのコミュニケーションのツールとして、市民のみなさんの橋渡しになればということで始められたんです」。私の実家でも新聞を購読しているが、たしかに新聞配達の人と会ったことはない。﹃街かど情報TSURU﹄のように、配達する人の顔が見えるサービスがあったら新聞に親しみを覚えるだろうな、と想像する。創刊以来、長く発行が続けられていた﹃街かど情報TSURU﹄だが、新型コロナウイルス感染症の影響で、都留市内のイベントなども中止となり、3年ほど休刊することとなった。そんななか、新聞店の所長に就任した山本さんが「もう一度やろう」と小宮さんに打診し、再開につながったのだという。山本さんは再開を強く希望した理由を、「いい取り組みだから続けたいと思った」と教えてくださった。長い歴史のなかでコロナなどのさまざまな出来事を経て、今の﹃街かど情報TSURU﹄があるのだ。30年を超える歴史の重みを感じる。都留には、﹃街かど情報TSURU﹄というミニコミ紙がある。手に取り読んでみると、B4サイズの両面に、都留の情報がびっしり詰まっていて、読みごたえがある。いったいどんな人が、どのように作っているのだろう。興味が湧いた私は、発行元である山本新聞店を訪ねてみることにした。ワクワクを届ける北原日々希(地域社会学科2年)=文・写真コミュニケーションのツールとして都留市と上うえのはら野原市を中心に新聞を販売・配達している山本新聞店は、都留市立図書館から徒歩3分ほどの場所にある。年季が入った建物で、いざ入ろうと思うと緊張してしまう。なかに入ると﹃街かど情報TSURU﹄の編集・発行をしている山やまもと本裕ひろし史さん(58)と小こみや宮正まさひろ廣さん(61)が笑顔で迎えてくださった。﹃街かど情報TSURU﹄は、1988年に創刊され、通算300号以上が発行されている。なぜ長く都留で愛されているのだろうか。創刊のきっかけからお話を聞いた。「新聞を購読してくださっているかたに、サービスのひとつとして発行しようとなったのがきっかけです。最初のころは、敬老の日の記事で地域の最高齢のご老人に取材しましたね」と小宮さんが創刊当時を懐かしむように語ってくださった。当時は村松新聞店という店名で、村松さんというかたが始めたそうだ。FIELD・NOTE118号 特集「届ける」大正時代に建設された山本新聞店の建物。国の有形文化財に登録されている(2024年11月3日)
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