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20no.118 Dec. 2024編集のこだわり﹃街かど情報TSURU﹄は、毎号さまざまな場所や人の記事を掲載している。どのようなことを意識して、情報集めや取材、編集作業を行っているのだろうか。山本さんと小宮さんに、記事を編集するうえでのこだわりを聞いた。取材先はどうやって決めているのだろう。尋ねてみると、山本さんは「けっこう行き当たりばったりだね。前から気になっていることを取り入れつつ決めていくという感じ」という。いっぽう小宮さんは、「読者のかたから情報が寄せられることもあります。新聞を配達しているときに目に留まったものを取材することもあるかな。旅先に行ったときのような気持ちで、視線を配っています」と教えてくださった。お二人は、それぞれ違った視点を持って取材先を決めているようだ。編集にあたって大変なことはなんだろうか。お二人が共通しておっしゃったのは「紙面が限られている」ということだ。「限られているなかで、取材先の人の雰囲気を表現できるよう工夫している」という。紙面を見てみると、お二人の記事のほかにも、イベントのお知らせなどの地域の情報が盛りだくさんだ。しかし、窮屈さを感じない。記事ごとにメリハリをつけているからだろう。わずかな余白でも有効活用しよう、というお二人の気概が伝わってくる。取材をするうえで、どのような工夫をしているのか聞いてみる。小宮さんは以前取り組んでいたという野球にたとえて答えてくださった。「相手の胸にむかって投げて、自分も胸の前でボールをとる。それと同じように、相手の話をしっかり聞くと、むこうもこっちの話をしっかり聞いてくれるし、もっと話を聞かせてくれる」。加えて、「もたもたする力」も大事なのだという。「もたもた、きょろきょろしているといい話が聞けたり収穫があったりします。寄り道をすることで、想定外の出会いがありますね。そういった出会いは貴重です」。私はふだん取材するとき、緊張してぎこちない話の聞きかたになってしまうことがある。小宮さんの、ゴールを急がずていねいに相手の話を聞きだす姿勢は、とても勉強になる。私もときには寄り道をしてみよう。新聞と一緒に﹁ワクワク﹂を最後に、﹃街かど情報TSURU﹄を発行し続けるお二人の原動力はなにか、お話を聞いた。お二人が共通して大切にしているのは、読者のかたとのつながりだそう。「こちらも発信するけれど、読者のかたからもメッセージがたくさん来ます。そのキャッチボールがいいんですよね」と小宮さんが嬉しそうに語りながら、届いた手紙を見せてくださった。どの手紙も「いつも楽しみに観ています」など、読者のかたの、あたたかい言葉であふれていた。山本さんは「ワクワクを新聞と一緒に届けたい」とおっしゃった。山本さんは、小学生にカFIELD・NOTE118号  特集「届ける」大切に保管している読者のかたからのメッセージを、小宮さんが取り出してくれた(2024年9月3日)

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